【高学年テーマ】おとなに言いたい!子どもの権利。こども基本法の絵本を作ろう! 絵本グループ②


2023年4月、日本にこども基本法が施行されたのをきっかけに、
高学年では「ひとはみな自由〜こども基本法〜」というテーマで学習をスタートさせました。
その中で、絵本グループに集まった6名は、こども基本法についての絵本を制作し始めました。

前回は、一体どれぐらいの人が「こども基本法」について知っているのだろう?という疑問から、
街頭インタビューに出かけた話を書きました。

詳しい内容はこちらをどうぞ
できたてほやほや、こども基本法。一体どれぐらいの人が知ってるの?

 


 

絵本を作るにあたり、まずはどんな内容のものにするかを話し合いました。

まずスタッフから、大まかな提案がありました。
「絵本だけど、こんな感じで作ったらどうかなって思ってるねん。どうかな。」

第1章「こども基本法ってなあに?」
第2章「おとなに言いたい、こどもの権利」
第3章「未定」

第1章は、こども基本法や、子どもの権利って何なのかについて、知ったことをまとめて書いていくページ。
第2章は、メンバー一人ひとりが、自分がおとなに言いたい子どもの権利を考えて、絵と文章を書いていくページ。
第3章は、そこまで作った上で、見えてきたものを話し合って書いていくので、今はまだ白紙。

 

「いいと思う。」
「じゃあ、誰がどこ担当するか決めよ〜」

子どもたちは役割分担を進めていきました。

「インタビューは、わたしがやるって決めてたよな」
「わたしは子どもの権利のページにしようかなあ」

「子どもの権利、どんなのがあったっけ」
「子どもの権利条約のカードにいろいろ書いてあったよ」
「どれにしようかなあ」

そんなことを話しながら、それぞれ自分の書きたいページに取り組んでいきました。

 

絵と文で綴る、子どもの権利。
ぜひおとなの人たちに読んでいただきたい内容です。

第1章では、
・こども基本法ってなあに?
・子どもの権利ってなあに?
・こども基本法インタビュー
この3つのページができました。

こども基本法については、学習で学んだことをまとめていました。

 

子どもの権利については、担当した4年生が、自分の考えを具体例を出しながら、とてもかわいらしい絵とともに書き上げました。
ぜひ画像を拡大して読んでもらいたいです。

こども基本法インタビューについては、自分たちが実施した街頭インタビューの結果と感想をまとめました。
この結果が、絵本づくりへのモチベーションにつながっていきました。

 

 

第2章では、
それぞれが自分が言いたい子どもの権利を選んで、絵と文を書きました。
全部で  個の言いたいことが並びました。

一部をご紹介します。

暴力から守られる権利
このイラストには裏設定があって、お母さんがパート先で店長に叱られて、
そのイライラを子どもにぶつけてしまっている、とのこと。

遊ぶけんり、休むけんり
ドアの向こうでお母さんが「もう、宿題したのー」とお小言を言っています。

いいたいことを言う権利
子どもは本音を言えずにがまんしているようです。

 

わたしはわたしでいいんだ
このページを担当した4年生は、おとなにむけて、
「自分のところに生まれてきた子どもを、その子らしさを大切に、かわいがってほしい」
というメッセージを送りました。

 

 

途中、絵本を書き進めながら、
第3章をどうするかについて、話し合う時間を持ちました。

第1章は子どもの権利についての基本情報、第2章はおとなに言いたい子どもの権利。
じゃあ第3章はどんな内容がいいのか。

スタッフから子どもたちに問いかけてみました。

「今のところ、この絵本では子どもの言いたいことをいっぱい言うという内容になってるね。
子どもの権利の絵本だから、それでいいと思うのだけど、この後どうしたらいいかな」

「テーマ始まって初めの時にやった、『子どもが決める、大人が決める』を出し合った時に、
誰かが『おとなにも権利がある』って言ってたよね。」

「あー、確かに。おとなにも気持ちがあるよね」

「もし、子どもの権利とおとなの権利がぶつかったら、どうしたらいい?」

「それはやっぱり、話し合い…」

そんなやりとりの中で、第3章のタイトルは
「おとなの気持ち、こどもの気持ち」
になりました。

 

権利が対立した時、勝ち負けか、対話か。

第3章は、
・意見が対立した時。勝ち負け
・意見が対立した時。対話
この2ページができました。

一般的には、意見が対立した時、どちらかが勝って、どちらかが負ける形で解決することが圧倒的ではないでしょうか。
例えば子どもが学校に行きたくないと言った時、親が無理矢理行かせようとしたり、
逆に子どもの言いなりになってしまったり。
勝ち負けで解決すると、どちらかに嫌な気持ちが残ります。

そうではなくて、双方が納得できる案が見つかるまで話し合う。
対話をするということ。
それが、お互いを尊重しあった、平和的な解決方法ですね。

 

 

対話とは、言いたいことを言うだけでなく
相手の話を受け止めること。

この「対話」のページの絵を見ていただきたいのですが、
画面の右側に座っている二人が対話をしている絵です。
この絵を描いたのは5年生ですが、この人に、
「この二人はどんな言葉を言っているの?」
と聞いてみたのです。

そうしたら、この絵のようなセリフを書きました。
「なるほど〜」
「そう思ってるのか」

対話とは、自分の言いたいことを言うだけではなく、
相手の話を聞くこと。受け止めること。
そのことが浮かび上がるようなセリフです。

こどもの森では、日常の中にこのセリフが溢れています。
相手を一旦受け止める。
そうすることで、対立する相手への理解が進み、お互いに納得できる解決策が浮かび上がりやすくなっていくのです。

 

 

さらに、絵本のタイトルを決める話し合いをしました。
この絵本にぴったりのタイトルって、どういうのがいいだろう。

いくつか意見が出た中で、全員がこれでいいと一致したのが

「言わせて!みんなの意見〜こどもの権利って知ってる?〜」

でした。

ここで、「子どもの意見」と言わず、「みんなの意見」としたのは、
意見をいうのは子どもだけでなく、おとなにだって言いたいことがある、と言う考えからでした。

子どもたちが、おとなもひとりの人として尊重してくれていることが感じられて、
その対等な感覚が嬉しかったです。

あれ?普通は大人が子どもを尊重しようとする態度がすばらしいと感じるのが一般的ですね。
ここではその逆でした笑

できあがった表紙はこちらです。

 

こうして、約2ヶ月かけて1冊の絵本が出来上がりました。

テーマ発表の日に、原画展として展示発表をしました。

発表当日の様子
「『こども基本法』の発表にテレビの取材が入り、会場はまるで初詣のようなにぎわいに」

見に来てくださった保護者の方や、
今回一方ならぬご協力をいただいたこども家庭庁参与の辻由起子さんから、
ぜひ絵本の出版を、と絶賛いただきました。

子どもたちが作った絵本を、ぜひたくさんの人に見ていただき、
全ての子どもが幸せに生きられる社会になっていくために、微力でも力になれたらと思い、
この絵本の出版を考えています。
完成したあかつきには、ぜひお手にとってご覧いただければと思います。

(A.M)