【高学年】修学旅行はみんなでつくる⑪ 誰かが嫌な気持ちにならないように、旅のルールを決めていく。


長々と書いてきた修学旅行の準備編、ついに最終話です。
旅の全容が見えてきたところで、最終段階に入ります。

前回までのエピソードはこちら
【高学年】修学旅行はみんなでつくる①〜⑩

 


旅のしおりづくりに入りました。
しかし、まだみんなで話し合えてないことが残っています。
果たして、間に合うのか・・・

宿の予約もでき、旅のプランはできあがりましたが、
最後にやることがまだ残っています。

それは、旅のしおり作成。
しおりが間に合わなければ、ここまで準備してきたことが水の泡。
11月13日のスクールワークで、しおりの役割分担をしました。
しおり原稿提出日は11月22日。
10日あるからできそうかというと、実はそうでもありません。
しおりに書く内容が、まだ決まってないものがいくつかあったのです・・・

 

修学旅行のルールを決めよう。
就寝時間は何時がいいか。

実はこのルール作りに時間がかかるのではないかと、
スタッフはひそかに気がかりでした。
というのも、夜早く寝たい人と、夜更かしたい人の両方がいるのがすでにわかっていたので、
就寝時間を決めるのにもめるのではないかと思われたから。

ルール担当者の腰が重く、たたき台が出来上がったのが
しおりの締め切り2日前。
スクールワークの時間に、やっとルールの話し合いが行われました。

ルールのたたき台が書かれた紙を見ながら、話し合いました。

 

ルール担当の人たちが作った案では
夜10時消灯、11時完全消灯。

ところが、4年生の中に早寝の人がいて、普段は20時に寝ているということがわかりました。

5年生の男の子が
「夜10時以降に寝るのは確定として、各部屋ごとに寝る時間を決めるのはどう?」
と提案。

すると4年生の男の子がぽつりと
「早く寝たい人が少なかったら、押しつぶされるんちゃう?」
と言いました。
これは、少数派の人の思いが多数派によって潰されてしまうことを心配している声でした。

そこに別の4年生の男の子が
「早く寝る人優先というのが、大前提やから」
と、早寝したい人を尊重する意見を言いました。

こちらの宿では、夜11時までロビーで歓談していいことになっていたので、
結局、各部屋ごとに寝る時間を話し合って決め、話したい人はロビーで話す、ということに決まりました。

思ったよりすんなりと就寝時間が決まりました。
スタッフは一安心。

 

おもちゃのルール、お菓子のルール、スマホのルール。
誰かが嫌な気持ちにならないように、
ひとつひとつルールを確認。

寝る時間の他にも、いくつかの懸念事項を話し合いました。

おもちゃはおもちゃデーでのみオッケー。
(普段から火、木はおもちゃを持ってきていいことになっています)

スマホは親との送り迎えなどのやりとりと、カメラとして使うのはオッケー。

お菓子は電車の中や観光先で休憩しているときに食べていい。
歩きながら食べない。
ごはんの直前はご飯を残さないように考えて食べる。

 

そしてみんなにとって超重要な議題、持ってきていいお菓子の金額を話し合いました。

今回出てきた金額案は、
・400円
・500円
・600円
・800円
・無制限

「800円以上がいい人、いますか?」
「自分で使う金額を調整したらいい」
といったやりとりがあって、
最終的にみんなの合意が得られたのは、800円でした。

さらに
「お菓子を現地で買うと、事前にお菓子代を決めた意味がなくなる」
ということで、
「現地でお菓子を買うのは、お土産のみ」
ということが決まりました。

 

 

こうして、ようやくしおりの内容が全て決まり、
ルール担当の人たちはギリギリセーフで原稿を仕上げることができました。

みんなでしおりを閉じて冊子にします。

こちらが完成したしおりです。

 

 

まだまだ決めることがある。
道案内担当、お金の準備担当、支払い担当、小銭の両替担当。

修学旅行1週間前の高学年集会で、
最後の役割分担を決めました。

道案内担当。
これは、旅行中の観光先から次の場所までの、道先案内をする係です。
例えば、名古屋駅から名古屋城までの電車と徒歩のルート。
名古屋城から次の観光先、トヨタ産業技術記念館までの道順。

まだ1度も行ったことのない場所の道案内を、
子どもたちは引き受けます。
一体どうやって調べるかというと、
Googleマップでルート検索し、ストリートビューで実際の風景を確認しているのです。
すごいなあと、本当に感心してしまいます。

 

お金の準備。
これは、切符購入や入場料の支払いなど、
訪れた先々で支払いをするための、袋分けの作業です。

 

支払い担当。
これは、その袋分けをしたお金を実際に現地で支払う係。

 

小銭の両替。
これは、これまでフリマやイベントで集まったお金をお札に両替するために
銀行へ行く係。
小銭が何百枚もあるのです。

 

ついに修学旅行のための全ての準備が整った!

と思いきや…
修学旅行前日の高学年集会で、おみやげをめぐる意見の対立が勃発。

無事しおりも完成し、それぞれの係の仕事も準備完了!
そんな中、明日はいよいよ修学旅行!とみんな心ウキウキで高学年集会を始めました。

6年生が
「各クラスと欠席の人におみやげを買うなら、誰が買い物するかと、一旦持って帰る人を決めておいたほうがいい」
と提案。

実は昨年の修学旅行で、そのことを決めないまま出発したために、
大阪に帰る直前で話し合いをするハメになっていたのでした。
そのことを思い出した6年生。
ナイスです。

さらっと決まると思っていたのですが…

「おみやげは、欠席する人と高学年のスタッフの中で行かないスタッフにだけでいい」
「低学年、中学部にはなしにしたい」
という強い声が。
雲行きが怪しくなってきました。

「でも、低学年はフリマやイベントでたくさん買ってくれて、そのおかげで修学旅行に行けるんやから、おみやげはいるやろ」
と、おみやげ賛成派の意見。
確かにその通り。

買いたくないという人の理由を聞くと、
「中学部は先月の研修旅行で、高学年におみやげをくれなかったから」
「低学年もお泊まり会のおみやげをくれなかった」
とか
「自分たちのお金が減るのがいや」
という意見でした。

もらえなかった、ということに実は傷ついていたのかもしれないと、
その場にいたスタッフは感じていました。
それにしても、なかなかドライな意見です。

結局、高学年集会の時間内に話し合いが終わらず、
放課後、この議案についてこだわりのある人たちで、続きを話し合うことになりました。

 

お互いの気持ちを伝え合い、
みんなが納得する形を模索。

放課後、数名が集まって話し合いの続きを始めました。
おみやげ賛成派の人も反対派の人も、とても真剣。
対立から生じた、「聞いてもらえない」という感情が溢れ出したのか、思わず涙が出てしまう人もいたようです。

お互いの気持ちを伝え合ったことがよかったのでしょう。
自然と折衷案が生まれて、最後はこれならオッケーという方法に落ち着くことができました。

決まったこと。
・高学年のお金からは低学年とスタッフ、欠席した人におみやげを買う。
・中学部には、有志でおみやげを買う。
・金額は低学年と中学部で同じ金額、合計2000円までとする。
・もし予算内の品物が見つからなければ、おみやげは買わないことにする。

 

こうして、出発ギリギリまで話し合いをしていた子どもたち。
自分の意見を押し通して、思い通りに進めることよりも、
全員がそれでいいと思うことを大切にしているからこそ、
めんどくさくてしんどい話し合いに自ら参加したのだと思います。

自分たちのお金の使い方という、自分たちにとって大事な事柄だから
みんな真剣に話し合っていました。

こんな話し合いの積み重ねが対話の力を育んでいると、つくづく感じます。

 

あ〜、それにしても
明日は当日というのに、みんな本当におつかれさま。
これで本当に、気持ちよく出発できますね。

修学旅行準備編、完。

(A.M)