2学期に実施したおとまり会。
3学期もやりたい!という議題が低学年集会であがりました。
話し合いの時間がない!
実は昨年度、2学期のおとまり会前に水ぼうそうが流行ってしまい、
3分の1の人が行けなかったため、みんなでやりたい!ということで3学期にも実施しました。
しかしこのおとまり会、2学期はスクールワークという時間を使って準備できることになっていますが、
3学期にはその時間が設定されていません。
なので準備の時間を作り出す必要があります。
それに、子どもたちが作るおとまり会と言っても、手続きの部分などはスタッフが引き受けたり、
長期にわたる実行委員の話し合いにスタッフも一緒に入ったりするなど、けっこうヘビーだったりもするのです。
昨年度は体調不良によりいけない人がたくさん出たので、2回目のおとまり会もスタッフが一緒に準備しましたが、
今回はもっと子どもたちに任せてみようということになりました。
「実は泊まるところの手続きをしたり、書類を作成したりするのが結構大変って思っていて、
今回は低学年の人たちで進めていってほしいと思っている。
相談には乗るけど、基本的にみんなでつくるというスタンスで居てほしい。」
という思いを伝えました。
そして始まった話し合い…
場所は決まらない、時間はない…
まずは泊まる場所について話し合いが始まりました。
選択肢は学校に泊まるか、学校以外に泊まるか。
もちろん意見は分かれます。
学校に泊まりたい人の理由は
・学校に泊まったことがないから泊まってみたい
・学校だと申込とかの手続きがいらないから自分たちでできそう
・〇〇(学校以外の場所)は駅から遠くて大変そう
学校以外に泊まりたい人の理由は
・〇〇(学校以外の場所)に泊まってみたい
・学校だとスタッフが少ないので安心感が少ない
・学校は布団やお風呂がないから
などでした。
ただでさえ話し合いの時間が少ない3学期ですが、
このどちらかを決めるのに3コマ使いました。
そろそろタイムリミットかな…と思い、スタッフからスケジュールについて伝えることに。
「2学期のおとまり会は、低学年での話し合いが11回。
実行委員での話し合いが12回あったよ。
3学期はおとまり会をするまでに低学年での話し合いが、取れてあと6回。
泊まる場所以外にも話し合う必要があることはたくさんあると思うから、
そろそろ場所は決めておかないと難しいのかなぁと思うよ。」
時間はない。でも意見はまとまらない…
重い空気が流れる低学年集会。
「もう決めないと、おとまり会ができないっていう一番最悪なことになると思う」
「実行委員みたいなのを作って場所を決めるのはどう?」
「実行委員作っても、結局意見が変わらず決まらないんじゃない?」
「この集会の後に、こだわりのある人で集まって話す?」
「もう集会の時間は過ぎてるから、早く帰りたいんだけど…」
放課後にも続く話し合い
いろいろな意見が出て、結局放課後に話したい人が残って話すことに。
残ったのは8人。
そのうち学校に泊まりたい人が6人、学校以外に泊まりたい人が2人。
多数決だとすぐに決まりますが、なんとかみんなの納得いく決断をしようと頑張ります。
この放課後の話し合いもスタッフはあくまでも見守りに徹して子どもたちに任せます。
「みんな、理由もう一回教えてくれる?」
「〇〇(学校以外の場所)に泊まりたいから。だから学校はいや。」
「学校に泊まりたい。最後のおとまり会やから。」
「学校以外やとお金がかかりすぎる。多分宿泊費以外にもいろいろかかりそう。」
「でも、低学年のお金たまっとるやん。ここで使わないつ使うん?」
言いたいことはお互い伝えますが、それ以上の案や解決策は出てこず。
「みんなが一番大事にしたいことはなんやろう?
誰と一緒におとまり会したいか、なのか、この場所に泊まりたい、なのか。
全部をかなえようと思ったら難しいことってあると思うよ。」
そばで見守っていたスタッフが声をかけました。
それについては、ほとんどの人が、今のメンバーでおとまり会がやりたい、という気持ちでした。
その中で学校以外に泊まりたいと言っていた人の一人が、
「やっぱり、学校でいい。だってこのメンバーでしたいっていう気持ちがいちばんやから、
場所にはそんなにこだわらんでいいかなって思った。
それにこのメンバーで泊まったら学校も楽しそう!」
ここで、学校以外に泊まりたいという人がAさん一人になりました。
学校に泊まりたいメンバーは、なんとかAさんを説得しようとします。
「Aさんもメンバーが大事なんやろ?じゃあ学校でもいいんじゃない?」
「どう?ぜっっっったいに〇〇(学校以外の場所)に泊まりたい?」
そうやって他の人から何度もきかれるうちに、Aさんは責められているような感じがして
「多数決じゃないって言っても、どうせ多い方に決まるんやったら
それは多数決といっしょやん!!!もういい。もういいよ。」
と、泣き出して出ていってしまいました。
残った人は少し気まずいような感じに。
「…でもさ、話し合いを辞めたってことは、もう学校でいいってことなんじゃない?」
「いや、それは違う気がする。」
「もういいって言ってたやん。」
「これで学校って決まってもなんか罪悪感あるっていうか…」
「なんか悪いこと言ってもたんかな…」
「責められてる感じがしたんかもしれへんなぁ…」
「もういいやん。学校に決めようよ。」
「Aさんに確認も取らずに決めるのもなぁ」
スタッフにも相談します。
「これってどうしたらいいんやろ…」
「たしかに、Aさんの立場やったら、自分だけが違う意見で、
責められてるように感じてしまうかもしれへんなぁ。
みんながもやもやしない決め方ができるといいんやけどなぁ。」
「一応学校って決めといて、明日Aさんに確認してみるとか?」
「どうしよう…」
みんながうーんと悩んでいる時、Aさんが話し合いに戻ってきました。
「帰ってきたー!」
「家帰ってもたかと思ったやんーーー」
笑顔も見せたAさんの姿にホッとしている人もいます。
すると一言、
「おとまり会、やりたくないかも。」
「「えーーーーー!!!!」」
まさかの発言にそこにいた人もスタッフもびっくり。
でもスタッフは後の予定があり、見守るのはここまで。
「あとはみんなに任せるね。」
と、言い残し
数分後
「学校に決まった!」
と、Aさんが笑顔で言いに来ました。
正直びっくりしましたが、あの後スタッフのいない中で
どんな話し合いがされたかはわかりません。
ただ、Aさんの中で何かしらの折り合いをつけて
みんなで学校でおとまり会をすることにしたんだと思います。
これにて、1時間以上にわたる話し合いが終了。
話を進めようとする人が居たり、泣いてしまった人にやさしく寄り添う人が居たり、
誰の意見も取りこぼさないようにひとりひとり確認する人が居たり、
みんなが気持ちよく納得いく結末になるようにうーんと考える人が居たり、
おとまり会にとても強い思いを持って話し合いに参加する人が居たり。
この話し合いを見守りながら、スタッフはとても心がじーんとしました。
こういう経験を何度も何度も積み重ねながら、
人と対話して物事を創り上げる楽しさや大変さを知っていくのだなぁ。
低学年の第2回おとまり会は、やっと場所が決まったところ。
残り少ない時間の中で、どんな風に準備を進めていくのか。
おとまり会を実施することができるのか、できないのか…
スタッフは引き続き見守っていきたいと思います。
(K.Y)