ペーパークロマトグラフィーの実験


今回は、「ミステリー仕立て」の実験です。ゼブ、タケ、ぺンの3種類のサインペンのうち、犯人が使ったのと同じペンは一体どれかを、分析して特定することが目標です。
(1)犯人が残した紙を4つの班に配って、右の図ように透明なガラスコップにつりさげました。これを4分ぐらい水につけてから取り出し、乾燥して貼りつけます。写真①は、コップから取り出す直前の「犯人の黒いペンのクロマトグラフィー」です。
写真1   図1
<写真①>
(2)次いで、各班ともゼブ、タケ、ぺンの黒の水性サインペンで同じように実験して乾燥後に指定の枠内に標本を貼って撮ったのが写真②です。上から順番に、ゼブ、タケ、ペンのクロマトグラフィーです。
写真2
<写真②>
見た目は同じ黒色でも、メーカーによって含まれている成分が異なるため、その滲みの色や上昇する高さが、それぞれ個性的で違っていることを全員で確認しました。
どの班の実験結果も、大体写真②のようになったので、「犯人が持っていたのは、『タケ』や!」と、大きな声があがりました。
(3)続いて、いろいろな色を自由に選び、それらのクロマトグラフィーを調べました。
すると写真③のように、各人が選んだ色で様々な模様が浮かび上がってきました。茶色からは、何色もの色素が滲み出てきました。
「エスミさ~ん、色を混ぜ合わせてもいいですか」、「違った色の点を幾つもうって、実験してもいいですか」、「わー、きれいきれい!」と、部屋中に叫び声が響きます。
写真3
<写真③>
エスミさんは、「なぜ、いろんな色に分かれるのだろうか」といいながら、これまでの実験の説明をはじめました。
「紙を水につけると、水が紙をのぼります。これはなぜでしょう?」
「知ってる! 水が紙に沁みこんで起こる毛細管現象や、前に学習した!」
「その通り、毛細管現象で水が紙をのぼるのだったね」
「水性ペンの色素が水に溶け、水といっしょに紙をのぼります」「そのとき、紙にくっつきにくい色素は速く、そうでない色素はゆっくりとのぼります」「こうして、水性ペンの色素が分かれていくのです」「このやり方で、含まれているものを調べる方法を、ペーパークロマトグラフィーといいます」
(4)最後は、クロマトグラフィーを応用して、コーヒーフィルターに花を咲かせる実験です。
右の図のように、コーヒーフィルターを直径10㎝くらいの円状に切り、その中心に直径1.5cmくらいの円を鉛筆で描いて、中の円周上に適当な水性サインペンで好みの色と数で点を描き、円の中心にスポイトで水を垂らしました。
すると、様々に色素が広がって、写真④のような大きな「花」が咲きました。  (M.M.)
写真4    図2
<写真④>