かず共同「角の学習(その1)」


低・中学年を対象に角の学習をしました。参加したのは、2年生2名、3年生2名、4年生2名でした。初回は、「角とはなにか(角の導入)」について、いろいろな角の生まれ方と、基本的な図形の名称の学習です。
1. 紙を切った紙片を示しながら(写真1)
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写真1
「いろんな形があるね、これらの図形の端っこを何というかな」
「『かど』でーす!」
「そうだね。『かど』は漢字で『角(かど)』と書きますが、算数を学習するときには、『かど』ではなく『かく』といいます」
「ふーん、『かく』というんや」(2年生)
「そんなん知ってる!」(3、4年生)
「『角=かく』は紙を切ったり、折り紙を折ったりすれば生まれます。これ以外でも角が生まれることがあるでしょうか?」
「???」
2. 袋から回転する円盤(写真2)を取り出しながら、
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写真2
0°の位置から始めて、少しづつ扇形の部分を大きく開いていき、90°を越え、180°付近までくると、「もういっぱいになった、終わりや!」
「いや、まだまだ!」
180°を越え、270°も越え、360°付近までくると「円ができた!」
「このようにして生まれる角を『回転角』といいます。」
(注)まだ、角度の量的な大きさを示す単位は導入していないので、上記の説明で〇〇度という表現は、当然ながらしていません。
新たに円盤ではなく、2本の割りばしの端を押しピンでとめて回転できるようにしたものを取り出して(写真3)、やはり0°の位置から360°の位置までゆっくりと開きながら、「角はどこにあるかな」と尋ねると、一斉に「割りばしに挟まれた先っぽ」との答えが返ってきました。
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写真3
(注)角度は図形の大きさではなく、開き具合の大きさで決まる量であることを印象づけることを目的に、割りばしによる角の表示実験を追加しました。
3.さらに、別の袋から鏡を2枚取り出して一端点をくっつけ、もう一方を離して「く」の字形に向かい合わせて、これらの鏡の下に折り紙を敷きました。(写真4)
「アミさん何をするの?」
「鏡同士の角を少しづつ狭くしていくと…、不思議なものが見えてくるんだ」
「見せて、見せて!」、こどもたちが、一斉に鏡の前に集まってきました。
「あっ、いっぱい三角形が集まって、まーるく広がってる!」
「その形の図形を、多角形というんだよ」「2枚の鏡の開きを狭くしていくと…」
「不思議だ、どんどん角(かど)の多い図形に変わっていくよ! おもしろーい」
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写真4
「鏡から生まれる角を、『反射で生まれる角』ということにしよう」
こうして、角は図形、回転、鏡など、様々な仕方で生まれることを学びました。
4.基本的な図形の名前
①「いま、鏡に映っていた図形は、角が4つから5つ、6つ、7つ…とふえていったね」「これらを四角形、五角形、六角形、七角形…といいます」
「知ってる! 角が4つなら四角形、5つなら五角形、6つなら六角形だ」(3年生)
「どれも角が沢山ある図形だから、まとめて『多角形』といいます」
②さらに、後の学習に備えて「正」多角形という名称についても学習しました。
(ホワイトボードに、長い直線を描きながら)「長い長い真直ぐな線の名前を知っているかな?」
「まっすぐ線」、「まっすぐ長線(ながせん)ちゃう!」(2年生)
「直線(ちょくせん)ていうんや」(3年生)
「そう、真直ぐな線だから、これを簡単に『直線』」といいます」
「では、(直線にはさみ入れている図を描きながら)直線にはさみを2箇所チョン、チョンと入れて切ってできる短い線を何というでしょうか?」
「チョンチョン線!」(2年生)
「何やったかなあ…、忘れてしもうたわ」(3、4年生)
「直線を分けて作った線だから、『線分』といいます」
「3本の線分で囲まれた図形が三角形、4本の線分で囲まれた図形が四角形、5本の線分で囲まれた図形が五角形…ですね」
「さらに、すべての線分と角が等しいときには『正』の文字をつけて、(実際に図を描き、その横に名前を記しながら)正三角形、正四角形、正五角形…、これらをまとめて、『正多角形』といいます」
「名前が覚えられたかな? いってみましょう」― 全員が代わるがわる、ときには詰まることもありましたが、直ぐに名前が言えるようになりました。
「正四角形には、もうひとつ別な名前があります。知ってるかな?」
「長方形、いや違った。正方形です!」(3年生)
「その通り。正方形といいます」
「それでは、(四角形で線分の長さが4本とも等しいけれども、角度が異なる図形を描きながら)この図形の名前を知っていますか?」
「???」
「ひな祭りのときにお供えする同じ形のものを見たことないかな?」
「ひし形!」(4年生)と大きな声。
「ふーん、名前がいろいろあって大変やなあ!」(2年生)          (M.M.)