JR大阪駅バックヤードの見学


選択プログラムでJR大阪駅のバックヤードを見学することになりました。バックヤードというのは、JR大阪駅と南北の2つの駅ビルの施設を維持管理する部門のことです。ふつう一般の人は入れないところですが、ここを管理している会社の方のご厚意によりこの見学が実施できました。
昼食を済ませると直ぐに学校を出発して、北千里駅から電車に乗って梅田駅に到着。そこからJR大阪駅まで歩きました。駅の南ゲート広場の「水の時計」の前に着くと、案内役の江本さんと松尾さんのお二人が出迎えてくれました。そこで簡単に駅ビルの説明をしてもらいました。4月にリニューアル・オープンされた大阪ステーションシティは、南側のサウスゲート・ビル、鉄道駅、北側のノースゲート・ビルの3つの建物から成っています。延べ床面積は甲子園球場14個分ほどの広さがあるそうです。
案内説明
南ゲート広場にある「水の時計」というのは、黒い石の壁をバックに、上の方から落下する水滴に光線を当てて、時刻を表す数字や英語の文字、雪だるまなどの画像を浮かび上がらせるという、コンピュータで制御された掲示板です。子どもたちは刻々と変化する画面に歓声をあげていました。
水の時計
最初に防災センターに案内されました。ここには、この建物内の各所に設けられた監視カメラから送られてくる映像を映し出すたくさんの数のモニター装置が壁一面に取り付けられています。係の人が画面を常時監視しており、火事が発生しているの発見すると、すぐに現場に駆けつけて状況を確認をします。もし、火事だと備え付けの消火器や消火栓からの水で消火します。店舗や事務室の天井にはスプリンクラー(散水栓)が取り付けられており、感知器が火災を感知すると自動的に水を噴射して火を消し止めます。エレベータの中にも監視カメラがついており、犯罪や事故などが起こるとすぐに救助に行きます。
次に地階にある物流センターに行きました。ここには、この建物のテナント(使用者)のところにトラックで運ばれてくる荷物を受け取るところと、各テナントが出すゴミなどの廃棄物を外部へ搬出するところとがあります。一日何百台ものトラックが来ますが、それらが一時に来て周りの交通が渋滞しないように時間帯ごとに来るトラックの台数を制限しているそうです。各テナントから出されるゴミは種類別に分けられていて、それを量りで計量し、その重さによってゴミ処理料が算定されるそうです。
物流センター
このセンターの一角に、ここで廃棄される多量の発泡スチロールを圧縮する機械が置いてあります。上部の投入口に発泡スチロールを入れると細かく粉砕し、熱を加えて溶かします。そして、それを冷まして固まりにします。一つの固まりは手で持てるくらいのサイズですが、結構重量があります。それを持たせてもらった子が思わず「うわー、重た!」と叫びました。
圧縮機械発泡スチロールの固まり
最後に、11階にある設備センターに行きました。ここでは、電気設備や空調設備などの運行状態を管理しています。管理室には壁いっぱいの大きさの電気の流れを示す表示盤が掛けてあり、係の人が異常がないかを監視しています。もし、異常があったり、空調の温度を調節してほしいなどの要望があったときには、制御用のパソコンから直接指示を送って調節するそうです。
大きな変圧器が何台も置いてある部屋に案内されましたが、そこでは外部から採りいれた2万2000Vという高電圧の電気をを6000Vまでいったん下げ、それをさらに通常使う100Vや200Vの電圧まで下げます。変圧のときに大量の熱を発生するので、それを冷やすための装置も付いています。パンを焼いているような香ばしい匂いのする部屋がありました。それもそのはず、そこには下の階にあるレストランやパン屋さんなどのお店から出る空気を集めて外に出す排気装置が置かれていました。
地震が起こって停電になったときは非常用の発電装置が作動します。ここには西日本一といわれるタービン式発電装置が設けられており、36時間は発電できるように地下部分に多量の重油が貯蔵されています。ひとりの子が天井近くに設けられた装置を見て「あれは何ですか?」と聞きました。この建物では1月に1回、短時間ですが試験運転をするそうで、そのときとても大きな音がでるそうです。それは、自動車のマフラーみたいな働きをする消音のための装置だということでした。
設備センターを出て、11階の高さにある「風の広場」に行きました。そこはもみじや松などの大きな樹が植えられた日本式庭園になっていました。そこからエスカレータを乗り継いで下に下りて、大阪駅のプラットフォームの上に架けわたされた空中歩廊「時空(とき)の広場」を通って、出発地点の「南ゲート広場」に戻りました。とても大きくて複雑な建物なので、その位置関係を把握するのはなかなか難しかったですが、変化に富んだ空間を子どもたちは面白がっていました。そこで記念撮影をして、案内してくれた方たちとお別れをしました。
集合写真
今回見学した内容は小学生の子どもたちには少し難しかったもしれませんが、鉄道駅やデパートなどの華やかな活動の裏で、それを支えるための仕組みがあり、それを動かしている人たちがいるのだということを知ってくれたらいいなと思います。お忙しい中、親切に案内や説明をしてくださった管理会社の方々、本当にありがとうございました。 (M.T)