ある日のケンカ~低学年~


いつも仲良しな、1年生のAくんとBくん。

くっついたり、いっしょにおふざけしたり、走り回ったり、キャッキャッキャッキャして、なんとも仲良し。

 

ところが、

 

プロジェクトの時間が終わりに近づき、アイロンビーズを片付けようとしたAくんに、「もう時間だから片付けな」と話しかけたBくん。

Bくんは、Aくんに早く片付けをしてもらって、お昼休みに早く一緒に遊びたかったのでしょう。

「ね~え~、はやく片付けしようよ~」と声をかけながらひっぱられるAくんの腕には、作りかけのアイロンビーズ。

 

 

イエス、嫌な予感、その通り。

 

 

バラバラバラ~っとAくんのアイロンビーズが崩れます。

 

片付けようって言われなくても今やってるよ、という気持ちもあったのでしょう。

それも相まって、Aくんの怒りの気持ちさんがモクモクっと出てきて、

「やからやめてって言ったやん!」

「もう遊ばへんしな!一生!」

「どっかいけ!」「もうしらんわ!」

「お前が離れろ!」

など、荒々しい言葉が飛び散ります。

 

 

近くにいたスタッフが二人をとりあえず物理的に離し、

「それぐらい嫌な気持ちやったんやな。嫌やったな。せっかく作ったんやしな、うんうん」

「びっくりしたな。そうかそうか、片付けてほしかったんやんな」

と、それぞれに話を聞きながら、傍についていました。

 

そうこうしていると、いつも仲良しな二人が大げんかしているということで、他の子たちも心配そうに寄ってきます。

「ちょっと離れた方がいいんちゃう?」

「こっちで遊んどこう」

「・・・(何も言わず、崩れたアイロンビーズを直してくれている)」

「・・・(離れたところから様子を伺っている)」

「AくんがこうしてるときにBくんがこうなって・・・(状況を説明してくれる)」

 

周りにいてた子たちの反応もさまざま。

 

そしてAくんもBくんも、スタッフの隣で、自分の気持ちを吐き出し続けています。

 

 

しばらくして、アイロンビーズを崩されてしまったAくんからその場を離れ、お弁当を食べに行きました。

それを見ていたBくんは、心配そうに、どうしようかなと考えています。

「ぼくはAくんを怒らせてしまったから、Aくんのそばにはいない方がいいと思う。高学年の部屋なら、一番離れていられるかも。」と言い、お弁当を食べに行きました。

 

そしてスタッフも様子を見つつ、自分たちのお弁当を食べに。

 

 

昼休みが終わりかけ、お弁当を食べ終わり遊んでいたAくんに、「さっきのケンカの話やけどさ」とスタッフが話しかけに行くと、

 

「え?もう終わったよ?」

とのこと。

 

 

あ、そうなの?

 

 

よくよく聞くと、

 

お互いの気持ちが落ち着いたころを見計らって、Bくんから、

「ねえ、まだ怒ってる?」

と聞いたらしいのです。

そうすると、

「え、なに?」とAくん。

すると、そばにいたCくんが、

「もう怒ってないよね?じゃあ、おしまい!」

と、さわやかに間に入り、それで終わったそうなのです。

 

 

こどもって、そんなもんか。

 

 

スタッフは聞くだけ聞いて、スタッフの知らないところでどうやら子ども同士で解決していたようでした。

 

 

 

**ちなみに、その後**

 

実はその日、またこの二人がケンカしそうになったのです(笑)

そこに、またまた近くにいたCくんが、「ねえ、離れよう」と、言って二人を離したのです。

距離をとったことでこの二人がまたケンカになることはなくなり、この日はそのまま終わりましたとさ。

 

AくんとBくんは、学校以外でも大きいケンカをしたことがあるらしく、その時に「距離を取る」ということをすることでまた関係が元に戻った経験をしていました。

Bくんは、そのことも覚えていて、「一旦離れる」ということを選択したようでした。

 

 

 

(M.F)