「今日はみんなで、オモチャではない本格的な万華鏡をつくりましょう。
万華鏡には、鏡が何枚ありますか?」
「3枚に決まってる!」
「みなさんが云ったように、普通は3枚のものが多いですが、実は4枚のも2枚のもあります」
「4枚なら想像できるけれども、2枚のもあるんですか!!」
「あるのです。その場合は一枚を紙にします。ただし、今日は鏡が3枚の万華鏡をつくります」
いよいよ、万華鏡つくり学習の始まりです。
「みなさんは、万華鏡は誰が発見したのか知っていますか?」
三択のクイズ形式で説明が進みました。
イギリス人の科学者ブリュ-スターが、灯台の光をより遠方に届かせる実験をしているときに万華鏡を発見し、日本には江戸時代に長崎の出島に伝わり、専らお土産屋さんのオモチャとして広まりました。しかし、アメリカではアートの世界に広まって、今もその伝統が続いているそうで、今回の万華鏡は、アメリカのアート系の万華鏡とのことでした。
万華鏡つくりの作業開始です。
1.最初に万華鏡の筒の外側に、模様が入った和紙を貼る作業です。自由に選んで丁寧に巻いて接着しました。
2.乾くのを待つ間に、筒の中に入れる3枚の鏡の組立に移りました。
「これから万華鏡の心臓部分をつくります。
万華鏡の模様は、筒の先端にあるガラスの模様が何度も反射して生じます。しかし、反射が不十分だと直ぐ光が弱って像が暗くなって美しい像が見えません。
アート系の万華鏡は天体望遠鏡の鏡と同じで、反射率が98%もある高価な鏡を使用します。
「理由は、普通の鏡の反射率は80%なので、2回の反射で64%、3回の反射で51%、4回の反射で41%と急激に光りが弱くなりますが、98%の反射率なら、5回反射しても、まだ90%の強度が残っているからです」
「鏡は、ピカッと光っている面とシールで保護された面がありますが、シールが貼ってある方の面に傷をつけないように慎重に扱ってください。
この面が98%反射する方の面なのです」
こうして、全員が緊張の面持ちで長方形の鏡を組み立て、接着テープを貼って、断面が正三角形の角柱を作りました。
これで万華鏡の心臓部分の工作が終わりました。
3.いま完成したばかりの角柱の表面に、柔らかなクッションを複数個付けて、これを先ほど準備した筒の中にそっと押し込みました。
みんな真剣に三角柱状の鏡を筒に押し込んでいます。
4.それから、準備してもらった様々な形と色のガラス粒を、各人が自由に選んで小さい円盤状の容器に入れ、これにグリセリンを注入してもらって筒の先端に貼り付けました。
グリセリンを入れることで、ガラス粒の動きが邪魔されて、万華鏡の模様がゆったりと変化するようになるとの説明がありました。
筒の先端にガラス粒を封入した円盤を取り付けています。
5.筒の反対側を、小さな丸い穴をあけた円盤で蓋をすれば作業終了です。
接着が乾けば万華鏡は完成ですが、乾くのを待ちきれずに途中で覗く人が続出しました。
そして、「わーきれい!」「見て、見て!」の大歓声が続きました。 (M.M.)
こどもたちがつくった万華鏡で映し出された美しい映像の一部です。