長えんぴつ


ある低学年の女の子の話です。
その子が持ってきているえんぴつは、どれも使い込んであって
すっかり短くなっていました。
そこで、その女の子は、新しいえんぴつを家から持ってくることにしました。
ところが、次の日もまた短いえんぴつを使っています。
持ってくるのを忘れていたのです。
そこで、どうしたら忘れずに持ってこれるか、考えることにしました。
「そうだ!紙に書いておけばいいんだ」
女の子はうれしそうにそう言うと、いそいそとメモを書きはじめました。
次の日。
「あ~ 長えんぴつ入れようと思ってたのに、忘れちゃった」
家で思い出してたのに、おしい!
その女の子は、もう一度メモを書き始めました。
今度はリュックに入れる分と、自分のロッカーに張り紙しておく分の2枚。
ロッカーに大きな文字で、「ながえんぴつ もってくること」と書かれたメモが貼られました。
そのまた次の日。
「見て~ 長えんぴつ持ってきたよ♪」
長いえんぴつを見せて、うれしそうにしている女の子。
ついに彼女は誰にも頼ることなく、自分の問題を自分で解決することができました。
新しいえんぴつを持ってくることなんて、ほんのささいなことかもしれませんが、
スタッフからも、おうちの人からも手出し口出しされず、
自分の力で取り組んだことは、彼女にひとつの自信を与えたに違いないと思います。
(A.M)