「引き受ける」ということ


 以前、講演会に行ったとき、ある教育学者の方が、「引き受ける」ということの大切さを説明してくれました。 講演会の詳細は覚えていないのですが、その「引き受ける」という考え方が、腑に落ち、心に残っています。
 自分で引き受けることを決め、引き受けたことを責任をもってやれることが、主体的に参加するために大切なことだという話だったと思います。それを心地よくやるためには、自分が引き受けられる量も知っていて、引き受けることと引き受けないことを判断できることも重要だと思います。
 引越しで、子どもたちの環境が大きく変わりました。いろんな仕事を率先してやってくれていた上級生が卒業していなくなったことに加え、校舎が広くなり、やらないといけない仕事はたくさんあります。
 そんな中、今までは誰かがやってくれていたこと、新しくしなければならなくなったことを自主的に引き受けてくれる子が出始めています。
 毎朝、一番早く学校にくる男の子は、花と木の水やりと、一階のシャッターを開けるのを毎日自ら進んでやってくれます。
 今まで上級生がやっていたハッピータイムや全校集会の司会、ボード係、記録係を引き受けてくれる子もでてきました。
 通学路が変わって、登下校が不安な下級生と、途中まで一緒に帰ってあげることを引き受けた子もいます。
 
 私たちが、教育のベースにしているフレネ教育にも「イニシアティフ」という考え方があります。みんなのためになることを自分がやることを指します。それは、「引き受ける」ということと同じ考え方だろうと思います。
 お互いができること、やってもいいことを引き受ける中で、学校づくりが進んでいき、心地よい学校生活が送れるようになったらいいなあと思います。