ろうそくの科学


今回は、ろうそくの炎をしっかりと観察して記録する実験でした。
エスミさんの最初の一声は「マッチは摺れるかな?」
9月の「水の電気分解」のときは、ほとんどの子どもがマッチが摺れずに戸惑っていましたが、今回は「怖いよー」と騒ぐ一人を除いて、6人が直ぐにマッチでろうそくに点火できました。(図らずも前回の体験が生きていることが証明されたわけです)
(1)「ろうそくの炎をよく見よう」
「よく見て観察することから、科学がはじまります!」とエスミさんの声。
「さあ、気づいたことを云ってみなさい」
★「炎には、あかるいところと、くらいところがある!」
「そのとおり、外側はあかるく、芯の方はくらいですね」、「実は、炎は、A炎心、B内炎、C外炎からなり、Aは300℃、Bは500℃、Cは1400℃位です」「紙が発火するのは400~450℃だから、真中のAではなくBかCに紙を入れなければ、紙は燃えません」
<炎の図>
s-炎の図
(注)図はすべて子どもが描いたものです
(2)「炎A、B、Cの中はどうなっているのだろう」
①「炎にアルミパイプを入れて調べてみよう」とエスミさん。
★「Aからは白い煙が、Bからは黒い煙が見えるけれども、Cからは何も見えないよ」
「その通りだね」
そして、エスミさんが子どもたちの煙にチャッカマンを近づけると、白い煙は炎を上げて燃えましたが、黒い煙には一向に火が点きませんでした。
<炎とパイプ>
s-炎とパイプ
②今度は炎A、B、Cにガラス板を入れて、みんなで観察しました。
Aの場合は、ドーナツ状の黒い輪が、Bの場合は黒い円盤ができましたが、Cの場合は、何も変化が起こりませんでした。
<炎とガラス板の図>
s-炎とガラス板
さらに続けて、3本の爪楊枝をA、B、Cの輪に入れて観察しました。
Aの場合は、二箇所に黒い線ができ、BとCは、中央に黒い線ができました。
<炎と爪楊枝の図>
s-炎と爪楊枝
「黒くなったのは炭素=炭のせいです。ろうが溶けて気体になったのがAで、さらに、それが炭素と水素に分かれたのがB、これが空気中の酸素と反応して二酸化炭素と水蒸気が発生します」と、「ろうそくが燃える仕組み」の詳しい説明がありました。
③さらに、ろうそくは液体が燃えているのではなく、気体が燃えていることを示す次の実験がありました。
試験管にろうそくを削った「ろう」を入れ、これをガスバーナであたためると、すぐに「ろう」は溶けて液体になり、やがて沸騰し始めました。すると試験管の口から白い煙が出てきました。
「白い煙は『ろう』の蒸気だよ。炎の炎心がこんな状態だね」
これに火を近づけると点火しました。試験管の口が炎を出して燃えていました。蒸気をたくさん出すと大きな炎になりました。気体になった「ろう」が燃えていました。
(3)「池の中に粉を入れてみよう」
★「ろうそくの芯の下側に、ろうが溶けて池ができている!」
「そうだね。池のごみが中心に向いて動いているのが分るかな?この動きが大切で、これによって、次々と溶けたろうが芯に供給されるから、燃え続けることができるんだよ」
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(まとめ)
1.ろうそくは、炎の熱で「ろう」がとかされて液体になる。
2.その液体が、ろうそくの芯を伝わって上がっていく。(毛細管現象)
3.さらに液体になった「ろう」は炎の中で気体になる。
4.この気体がもえている。
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(4)「ほのお」のまわりの空気の流れ
燃えているろうそくの背後から投光して、ろうそくの像がスクリーンに投影されました。
「スクリーンの像をしっかりと観察してごらん、何が見えるかな?」
★「さっき見た、炎のA、B、Cの像が見えている!」
「もっと細かく観察してご覧」
★「これまではっきり見えなかったCがよく見える」「空気が揺らぎながら上へ上へと昇っている」「AとBの明るさが、元の『ほのお』と反対になっている」
「あたためられた空気が上昇して空気の流れが生まれて『ほのお』の形がつくられ、周囲からろうそくに新しい空気が供給されているんだよ」とエスミさんの説明。
これに続いて、子どもたちに問いが投げかけられました。
「宇宙を飛ぶロケットの中では、ろうそくの『ほのお』の形はどうなるだろう?」すかさず、「知ってる! 丸くなる!」との声。
「その通り。では、なぜ丸くなるのだろう」「………………」
「宇宙では重さが無くなるために、空気の流れが起こらないからなんだ」とエスミさん。
「フーンそうなんだ!」と子どもたちの声。
丸くなる理由を理解してから、宇宙で燃えるろうそくの写真が、全員に配られました。
<宇宙のろうそくの写真>
s-宇宙のろうそく
(5)両端に火が点いたろうそく
最後に、中央を棒で串刺しにしたろうそくを、シーソーのようにして紙コップの台に載せて、その両端から芯を出し、エスミさんが両方に点火しました。
「さて、このまま放っておけばローソクはどうなるだろう?」…これがエスミさんの最後の問いかけでした。
みんなが興味深々でじっと見守る中、ろうが溶け出して軽くなった側が上に跳ね、しばらくすると、今度は反対側のろうが溶け出して軽くなって跳ね上がり、丁度シーソーのような動きが繰り返されて、次第にろうが短くなっていきました。
そこで終わりの時間がきてしまったために、最終的にどうなるかは確かめられませんでした。
はて、一体どうなるのでしょうか?  (M.M.)