「単位あたり量」のまとめ


今回の「かず共同」は、前回の続きです。
前回は、「電車のこみぐあい」の表わし方について、みんなで3通りの方法を考え出して議論し、いずれも7時発の電車よりも20時発の方がこんでいるとの結論になりました。そして「こみぐあい」は「1りょうあたりの乗客数で表す」のがいいのではないか、ということになりました。
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▼ 次の表は、ある日に箕面駅を発車した電車の車りょう数と乗客(じょうきゃく)数を表しています。
表1
電車の車りょうは大きさも型もみな同じで、それぞれの時刻の乗客はどの車りょうにも同じ人数ずつ乗っているとします。
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実は、みんなが考えてくれた「1りょうあたりの乗客数」は、乗客数とも車りょう数ともちがった新しい量なのです。そのことは、7時発の電車よりも20時発の電車は、車りょう数も乗客数も少ないのに、こみぐあいは大きくなったことからも分ります。
「こみぐあい」が新しい量であることを、さらにはっきりさせるために、1りょう当りの乗客数を求めるわり算を、詳しくふり返ってみましょう。
1りょうあたりの乗客数を求めるのに、全体の乗客数を車りょう数でわりましたが、乗客数にも車りょう数にも単位をつけて、7時発の場合の計算を詳しく書くと、
・数字の部分のわり算わりは、1216÷8=152
・単位の部分のわり算は、人÷りょう=人/りょう(注)
なので、これらの計算を一度にまとめて書けば、
数式
となります。このようにして、「こみぐあい」を表わす新しい量の単位「人/りょう」が生まれます。
(注)記号「/」はスラッシュと読み、単位を表わすときに「÷」の代わりに使われる記号であることを説明しました。
・まとめ
こみぐあいは、重さや面積などとはちがった新しい量で、わり算で作られます。
このようなわり算で作られる量を単位あたり量といいます。
▼ 「152人/りょう」の読み方も複数紹介しました。
・1りょうあたり152人       ・1りょうについて152人
・毎りょう152人          ・152人パーりょう
▼ 単位あたり量のまとめをやってから、次の2~6までのプリント練習問題に取組みました。
(問題番号は、最初からの通し番号)
式を考えることに集中できるように、計算が苦手な人は電卓を利用してもよいことにしたら、5人中3人が電卓を使っていました。
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2.ある小学校では、5,6年生が同じ大きさのバスで遠足に行くことになりました。5年生は3台のバスに165人、6年生は4台のバスに232人が乗ります。どのバスにも同じ人数の子どもが乗るとして、バスのこみぐあいをくらべなさい。どちらの学年のこみぐあいが大きいですか。
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▼ 本問は、全員が直ぐに「解け」ました。しかし、半数はまだ単位のことを全く気にせず、数字だけの計算になったり、途中の式では単位をつけていても、最後の結果の単位が記号「人/台」ではなく、「人」だけであったりしました。
▼ 平素算数に苦手意識のあるAさんが、一回目の授業を休んでいたので、前回学んだ内容を、再度全員に丁寧に説明してから授業に入りました。すると、Aさんが一番初めにこの設問について、単位も正しく付けた解答をもってきてくれました!
3.ある農業試験場の4つの田A, B, C, D で4種類のいねを育てたところ、それぞれ次の表のようなとれ高(収穫(しゅうかく))がありました。
表2
(注)1a(アール) は土地の広さを表す単位で、
1a=10メートル四方=100平方メートル=約30坪
次の問いについて、判断の理由を記してから結果を書きなさい。
①AとBのいねでは、みのりのぐあいはどちらが大きいですか。
②BとCのいねでは、みのりのぐあいはどちらが大きいですか。
③CとDのいねでは、みのりのぐあいはどちらが大きいですか。
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▼この問題は、前回の「電車のこみぐあい」と基本的に同じ問題であることを、全員で確認してからやりはじめました。しかし、理由を書くのに苦労している様子でした。それでも①と②は、全員が説明つきの正解の回答を提出しました。
▼しかし、③については、
Cの収穫は、290kg÷5a=58kg/a    Dの収穫は、252kg÷4a=63kg/a
のように、数値だけでなく単位までしっかりと書けている回答は4人中一人だけでした。
▼1a(アール)の広さを実感してもらうために、子どもの森学園の中庭の広さがほぼ1aであることを伝えました。
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4. 3.5mで6,300円の布Aと2.8mで4,480円の布Bがあります。どちらの布の方が高価な布ですか。1mあたりの値段を計算してくらべなさい。
5.あきらくんの家では、へいと屋根にペンキをぬりました。それぞれの面積とぬったペンキの量は、表のとおりです。
表3
①屋根とへいのペンキの濃(こ)さをくらべたいのですが、濃さの判断をする基準の量の単位は何にすればいいですか。
②上の考えをもとに、屋根とへいはどちらの方が濃いか、計算しなさい。
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▼上の4と5の設問では、全員が単位を積極的に使おうとする態度に変わってきました。
▼今回の授業では、設問はもう1題ありましたが(次の人口密度の問題)、殆んどが①か②まで手をつけたところで授業時間切れとなりました。ただし、B君だけは④まで取組んでいました。
6.下の表は、埼玉県の南部の市の人口と面積です。
表4
①各市の1k㎡あたりの人口を求めなさい。(面積、人口とも上から二桁の概数(がいすう)計算しなさい)
(注)1k㎡あたりの人口を人口(じんこう)密度(みつど)といいます
②人口密度が一番大きい市と一番小さい市はどれですか。
③人口密度が4,000人/k㎡以上のところを人口(じんこう)密集地(みっしゅうち)といいます。人口密集地はどの市ですか。
④点●を千人として、各市の人口を下の正方形(1k㎡の土地)に記入しなさい。
表3
(M.M)