学期を通して1つのテーマについて学ぶワールドオリエンテーション。
今学期は『差別~誰もが安心して暮らせる世界へ~』をテーマに学んできました。
この日、それぞれのテーマで調べてまとめて考えてきたことを発表しました!
1人目は「人種差別」について
今回のテーマを聞き、「世界ではどのような差別があるのか?」「なぜ、人は差別をするのか?」という疑問を抱きました。
差別をする理由を知るには差別の現状について知り、それを知ったうえで差別する理由を考えようと取り組みました。
今回は人種差別について、特に黒人差別とユダヤ人差別について調べ、中国のCMやヒトラーのこと、アウシュビッツの収容所について発表。
そして、差別する理由について自分の考えを伝えました。
周りの人と違う人がいると、そこに「空気の乱れ」が生じる。その乱れを嫌がった人が差別をするのだ、と考えました。それが社会問題になっている「いじめ」にもつながり、更に国レベルではユダヤ人差別のようなことにつながる、という考えです。
独自の表現ですが、例を出して具体的に身振りで説明して伝えました。
今回の取り組みで、世界に目を向けることができ、視野が広がりました。
2人目は「ブータン」について
1人だけタイトルのテイストが違いますが、それには理由がありました。
今回のテーマを聞いて、自分は差別をしないということはできるにしても、差別している人はその人の問題であって、自分がすぐに直接できることはないと考えました。
そこで、サブテーマである「誰もが安心して暮らせる世界へ」に注目し、ブータンはそれに近い世界なのではないかと目を付けました。
ブータンという国について伝え、GNH(”Growth National Happiness”国民総幸福量)という指標について紹介。
ブータンという国は、経済の発展や景気の良さを指標にして国づくりをしているのではなく、国民の幸福度に目を向けている、とのこと。
そんな国もあるのです。
ただ、そんなブータンでもGNHは一番ではないし、「誰もが安心して暮らせる世界」は難しいという結論に。でも、国民の幸福を一番に考えるのはいいことだし、他の国も見習えば世界はもっといい場所になるはず、ということでした。
3人目は「部落差別」について
今回の学習でスタッフからもいろんなことを伝えてきた中で、「部落差別」についても触れましたが、それで身近にあるものだと気づきました。
もともと歴史が好きなので、知識としては知っていても内容については全然頭に浮かんでこないことにも気づきます。
更に本を見てみると最近は特に問題意識が薄れてきているとあります。自分もその1人だと思い、今回しっかり学んでみることにしました。
「部落差別」には血縁と地縁が関係しているということ。現在では世代も移っていたり転居したりというのがあり、複雑化している。
他の差別とは違い、見た目にはほとんどわからず、その人の背景を知った上で「部落だと”みなして”」する差別である、と。
そうみなすことで、その人と関わりを持つと損をすると考えて避けたりするのが、この「部落差別」です。
今回は、本を読むだけではなく、実際に「部落差別」問題に取り組んでいる方にインタビューをして、本では得られない情報を得ることもできました。
ひと通り説明した後に、自分にできることを発表。
偏見を持たない・噂に流されない、現地に行ってみる、かかわりを持つ、過去を忘れない
ということを挙げました。
世間では「寝た子を起こすな」論で課題から目を逸らそうとしたり、分散論で当事者だけの責任にしてしまったりする人もいる中、しっかりと目を向けて自分事として捉えようという姿勢が出ていました。
今回の学びを自分の生き方にも取り入れたい、ということでした。
4人目は「アイヌ差別」について
大阪に来る前に住んでいた北海道で身近だったアイヌ民族。北海道にはアイヌ語がもとになっている地名がたくさんあったり、博物館などもあります。
その時は知らなかったけど、調べてみると長年差別を受けてきていることを知り、そのことを伝えようと発表のテーマに選びました。
また、消滅の危機に瀕している言語の1つにアイヌ語が入っており、そのことも知られていないと思い、伝えることにしました。
発表では、アイヌ語からできていて日本語になっている言葉を紹介したり、アイヌ民族と大和民族の関わりの歴史について調べたことを紹介。
最後に、今年の夏に実際にTwitterで投稿されていた差別発言を紹介し、今もまさに続いている差別についてインパクトのある事実を見せました。
身近であっても差別のことまでは知らなくて、今回の学習を通じて知った事実に驚きました。
そんな自分を振り返り、今度はそういう視点で博物館などに行ってみたい、ということでした。
世の中には多くの人がいて、多くの考え方がある。それは認めるとしても、自分自身は何か考えを持つ時は、そのことについてよく調べてからにしたい、と考えるようになりました。
5人目は「ホームレス」について
今回のテーマに取り組む中で、学期の最初に人権に関係する社会課題について学びました。
その中の1つにあった「ホームレス」について調べることにしました。
調べてみることで、自分が保護者に生活を支えてもらって暮らすことができているということにも気付きました。
発表では、「ホームレス」について大変なこととして
冬、「ホームレス」被害、お金集め
を挙げて、その大変さを具体的に説明しました。
その上で、調べる中で見付けた海外のドッキリ企画の映像を紹介。
「ホームレス」の男性のそばに、「ホームレス」に見せかけた少年が座ります。そうすると通りがかりの人が、少年には優しく声をかけたり寄付をしたりしますが、男性には罵声を浴びせます。
そんな扱いを受けていた男性ですが、少年に自分の荷物を言づけてどこかへ行ったかと思うと、なんと自分の持っていたわずかなお金で、少年のために具のないピザを買ってきました。
そこで種明かしをして少年が集めたお金を男性に渡しました。すると男性は泣いて喜んだ、という内容でした。
困難な状況に置かれた上にひどい扱いを受けても、優しさを失わなかった男性を見て、たとえ見た目は汚れていても、中身はキレイな人が多いのではないかと感じました。
調べてみて「ホームレス」の大変さに驚きました。
そういう人を目の前にして、進んで助けに行けるほどの勇気はないかもしれないけど、海外のドッキリ映像で見た通行人は無責任だと感じました。と言っても、自分もそのようにならないとは限らない、とも感じ、だからこそ、そうならないようにしたい、と考えるようになりました。
レポートでもいろんなデータを紹介して、広くこのテーマについて調べて学んだことが表現されていました。
最後の6人目は「児童労働について企業に聞いてみた」でした。
差別について学ぶといろんな差別に出会いました。そんな中、自分と近い年代の子どもたちが安い賃金で働かされてできた商品が身の回りで使われている場合がある、ということを知り、同じ労働をしているのに子どもは安く使われているとしたら、それは差別だと考えました。
実際に児童労働によって生産されていると言われているものは、カカオやコーヒー、綿などでどれも身近なものばかりです。だから、誰もが知っているような企業に実際にこのことを聞いてみて確かめて、そこから労働環境が改善されるにはどうすれば良いかを考えようと調査を開始します。
食品業界・アパレル業界の、計24社に直接自分で電話したりやメールを送ったりして確かめました。
企業によって対応は様々でした。その対応の様子から感じることも多くあったようです。
自信を持って児童労働がないと確認していると回答した企業も、確かめられないと回答した企業もありましたが、実際はすべての行程を自分で見て確認できるわけではないので、どの情報も確かではないのかもしれません。
その調査を経て、児童労働のことについて少しは分かったことがあったかもしれない。ただ、社会にはそれだけではない実に様々な問題があります。もし、企業がその問題に正面から取り組んで解決を目指せば早いのかもしれない。だけど企業は利潤を追求するものだから、そう簡単にはいかない。
ということは、そこに対して声を上げて戦うよりも、自分の好きなことや得意なことにエネルギーを向けていきたいと考えました。
そこでできることを具体的にたくさん挙げました。できることは考え方次第で無限大だと感じました。
ガンジーは「見たいと思う変化にあなた自身がなりなさい。」と言ったそうです。これは自分自身が変化を起こすことではなく、変化に「なる」こと。たとえ最初は1人でも、自分の変化を発信していけば共感して応援してくれる人が集まってくれるはず。
企業がそのようなことを今よりもよく考えて動いてくれたら、将来はもっと明るいのかもしれない。でもそれよりも自分が変化になっている方が早いかもしれない、と締めくくりました。
最後は「韓国研修旅行」の報告、ダイジェスト版でした。
最初は今回の旅の概要として、役割分担をしてメンバー全員で作ってきた旅だったことを紹介。
それから、ひとりひとり担当の部分を発表。
訪問したガンジースクールの全体について紹介。
そして、そこで体験した様々なプログラムの紹介。
地域の行事、「キムジャン(1年分のキムチを一度に作る行事)」に参加した様子を報告。
ガンジースクールで行った「交流ワークショップ」「日本紹介紙芝居」について。
更に観光のグループより、
「DMZツアー」の報告
仁寺洞、戦争と女性の人権博物館について
最後は全員で質問に答えました。
10泊11日のプログラムで、本当に多くのことを体験して学びました。
1月には、もう一度それぞれが今回の韓国での学習を振返って発表をする予定です。
おまけ
今回の発表も、子どもたちで朝から準備して聞いてくれる人を迎えました。
いろんなことを自分たちでつくっていく学びを続けています。
(J.S.)
※中学部は現中学1年生と小学6年生(来年度から)であれば、ご入学できます。
ただ、定員がいっぱいの場合もありますので、詳しくはお問い合わせください。
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(担当:佐野)