-200℃の世界をのぞいてみよう~液体窒素で学ぶ物質の状態変化~


今回の科学実験は液体窒素を用いた実験。

準備が始まると中学生が準備を手伝ってくれ、ひと段落すると、始まる前から質問タイムが始まりました。

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温度は-273℃より低くはならない、それはどういうことか?

温度というのは分子の動き。それが速いと温度が高く、遅いと低い。

つまり止まってしまう温度以下の温度は考えられないのです。

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「すべてのものに気体・液体・個体がある」

最初に温度という概念と物質の状態変化について学びました。

-273℃を絶対零度といい、それを基準に表す温度を絶対温度といいます。

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窒素は-196℃~-210℃の時に液体になります。

今回出てくる液体窒素はそれくらい冷たいのです。

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物質の状態変化は分子のあり方によります。

分子モデルでイメージしました。

 

そしてお待ちかねの液体窒素の登場です。

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少し入れただけではすぐに気体になってしまいますが、どんどん入れていくと液体がたまっていきます。

まずは、なんと-200℃近い液体窒素に手を入れてみます。

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最初は怖がっている雰囲気でしたが、大丈夫とわかると楽しくなりました。

液体窒素の温度からすると、人間の手の温度はアツアツの鉄板のようなもの。

手を入れた瞬間は窒素が気体になってしまうため、直接液体に触れることがありません。

だから、一瞬手を入れるだけであれば安全なのです。

 

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その後はまず葉っぱや野菜などを入れてみます。見る見る内に凍ってカチカチになりました。

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触ってみたり、叩いてみたりしました。バナナは釘が打てるくらいに硬くなりました。

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慣れてくると、自分たちでいろいろ入れてみて感触を確かめます。

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ゴムボールは液体窒素に入れるとしぼんでいき、取り出して持っていると爆発して破片が散らばりました。

 

物質は、冷えると分子の動きが鈍くなり、状態が変化し、体積が小さくなります。そうなっていることを確認する実験をしました。

スポンジを液体窒素に入れて、そこ入っている空気などを一時的に冷やします。それをビニール袋に入れて密封するとどうなるか。

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熱を取り戻した物質は急激に膨張を始めます。それによって、袋がどんどん膨らんでいきました。

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その袋が膨張する力を体感するために、ひとり一つのスポンジとビニール袋で実験しました。

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今度は、 バルーンアートで使う風船で実験。膨らませた風船を液体窒素につけるとどうなるか?

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爆発する、しぼむ、何も起きない…まずは自分で考えてみました。

そして…

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入れていくと見事にしぼみました。

ところで、しぼんだのは中にあったものが収縮したから、であるはず。

ということは、たとえしぼんでいても中にある物質はそのまま残っているはず…

だから、それを外に出すと…

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見事に元通り!驚きの声が上がりました。

同じ物質でも、状態によってこんなにも大きさが変わるんですね。それが温度によって変化している様子がわかりました。

 

更にそれを確かめるために、今度は中身が見やすい透明の傘袋を使いました。

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それを液体窒素で冷やします。そうするとしぼんでいって、それを引き上げて見てみます。

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そうすると中に白い液体のようなものが見えました。固体や液体になっているんですね。

 

 

空気だけでなく、酸素や二酸化炭素も実験してみました。

二酸化炭素を冷やすと固体の粉ができました。

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これこそが純粋なドライアイ(固体の二酸化炭素)です。

普段見かけるドライアイスは水を混ぜてあのような固形物になっているそうです。

なかなか見ることができない液体酸素も見ることができました。

ほんのり青みがかったような色をしていました。

 

最後は水素を入れた袋で実験。これはやってみる前に、どうなるだろう?と問いかけが…

実はヒントは配られていたプリントにありました。

そこにはいろんな物質の沸点や融点が書いてあります。

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そこで確認をすると、水素が液体になるのは-259℃だということがわかりました。

つまり、-200℃の液体酸素で冷やしても気体から液体にはならないのです。

実際に水素を入れた袋を入れてみても、大きな変化はありませんでした。

 

物を冷やしてみる実験の最後は、自分で持ってきたものを冷やしてみよう、ということになりました。

今回はマシュマロを持ってきた人がいました。

基本的に、食べ物は冷やしても口にするのは危険だそうですが、なんとマシュマロだけは例外。

他のものであれば、急速に収縮している空気などがあると危険なので口にはできませんが、

マシュマロは詰まっているため、その心配がないのだそうです。

でもちょっと心配な様子だった中学生を気にせず、マシュマロを凍らせると

「爆発したら救急車を呼んでくれ」と言いながら江角さんがマシュマロを口へ!

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大丈夫でした。新たな触感が得られたということでした。

安心した中学生も食べてみたくなりました。

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持ってきた本人が自らチャレンジ!

美味しく食べられました。続いて、他の人も食べてみて、その美味しさと面白さに感動し、

新商品ができるのではないかという話まで出ました。

…どうやって凍らせるのか、ということがクリアできれば…。

 

さて、今度は最近取り組んできた電気と絡めた実験。電気と熱の関係について学びます。

電気は冷えている物質に通した方が、よく通ります。

それは、冷えている方が分子の動きが鈍いのでそこを通る電気が動きやすいためです。

大阪梅田にあるような地下街の人ごみの例で説明してもらい、とてもイメージがつきやすかったようです。

人がたくさん活発に動いている中を通るのは大変だけど、仮に全員が固まって止まっていたらその間をすり抜けて走っていくのはたやすいだろう、ということです。

 

それを確かめるために電磁石を使いました。何もない時の電磁石と液体窒素に付けた後のものとで、釘がどれだけつくかを比べてみます。

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冷やした後の電磁石には、すごい勢いで釘がくっつきました。

 

この日の最後は、シャープペンシルの芯を電球のフィラメントのように光らせる実験。

普通の環境では、少し熱を通しただけで切れてしまうようなシャープペンシルの芯ですが、液体窒素につけながらであれば電気はよく通るし切れにくいのです。

 

芯を回路につないで液体窒素の中につけ、電源装置のレバーをひねって電流を流していきます。

そうすると…

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すごい光を放っていました。直視できないほどまぶしい光でした。

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シャープペンシルの芯でも電気を通せばこんなにも明るく光るのだ、ということがわかりました。

そして、普段見かける電球がどのようにして光っているのかも、違った視点から知ることができたと思います。

 

片付けの時、出してしまって余った液体窒素は、床にばらまいても大丈夫。

すぐに気体になって消えてしましました。

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身近ではなかなか触れることができない液体窒素を使って、とても貴重な体験ができました。

(J.S.)

※中学部は現中学1年生と小学6年生(来年度から)であれば、ご入学できます。

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(担当:佐野)