最後の1年、自分に浸る (長期プロジェクト発表会)


今日は3年生が今年度ずっと取り組んできた長期プロジェクトの発表会。

発表の日が近づくと、小学部の子も

「やったー。次、中学部の発表やあ!」

と言うほどで、みんなが楽しみにしている様子が伝わってきました。

 

集まってくれたのは中学部の保護者の皆さん、小学部の高学年と、低学年の希望する子たち。たくさんの人たちの前で、1年間取り組んだ思い入れのある作品たちの発表です。

 

最初の発表は小説。

中学部の子たち一人一人にインタビューをし、そこで集めた情報をもとに、中学部の仲間たちの未来予想、10年後の中学部の様子などをイメージして書きました。

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「他の人に教えないから、と前置きしてインタビューしたことで、暴露話が聞けました。」

とニヤニヤと話す姿はとっても楽しそう。架空の人物も登場させるなど、工夫を凝らしたようです。最後の取り組みに、こどもの森や中学部のことがテーマに選ばれていることに、彼のいろいろな思いが詰まっているような気がして、なんだかほっこりとした気持ちになりました。

たくさんの人から

「それはスタッフにも見せてもらえるんでしょうか?」

「小学部には?」

と完成品が読みたいというリクエストがあり、中学部の子たちのプライベートな情報も含まれていることから一旦躊躇した様子を見せていましたが、その場で中学部の子たちに了承も取っていました。

高校に進んだら、今度は完全にオリジナルの登場人物で新作を書きたいそうです。

 

続いて、木工作品のゼロ戦の発表でした。

圧倒的なリアリティー! こんなに精巧なものが手作業の木工で本当に作れるの? と目を疑うほどの出来に、見ていたみんなが驚いていました。

しかし、それ程の出来にもかかわらず

「実は、この部分が曲がってて…。」

とさらに高い完成度を目指している様子。

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「すごく細かいんだけど、やってて『イーッ!』ってなったりしないんですか?」

という小1の子の質問にも

「飽きたりはしません。楽しいんで。」

と当然のように答えていました。これからのことについて尋ねられると、

「これからも木工は好きなので、ずっと続けていきたいです。仕事にするのは、まあいいかなと思うけど。」

と堂々と語ってくれました。こうやってすぐに言い切れる程にただただ好きで打ちこめることがあること、とっても素敵なことだなあ、と思いました。

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次はソファー。こちらは現在、中学部1階の図書室で既に使われています。

小学部で使われている木製ベンチをモデルに、クッション部分には使われなくなった布団を活用。カバーはこれまでやったことのなかった洋裁にチャレンジしました。

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しかし、ここまでの道のりは長かったようで、

「最初はみんなが発表する時とかに使える舞台をつくろうと思ったんだけど、あんまりみんなに求められていない気がして計画を変えました。」

とこれまでを振り返ってくれました。それだけでなく、

「自分のやりたいことと人に求められることが重なるところを探すことは大切だと学びました。」

と自分の学びを言葉にしました。

計画を変えるのは気持ちの面でも切り替えが大変だったようですが、その葛藤を前向きに乗り越えていった姿に、たくましさを感じました。

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リクエストに応えて寝てくれました。

 

最後は「絵本とくまんだら」。

これまでに大好きな動物の絵をたくさん描いてきて、学校外では個展も開くなどしてきた女の子が、今度は絵本の製作にチャレンジしました。

制作過程を説明してくれる中で出た大量の書き損じも見せてくれました。

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「最後までやり切る力がついたと思います。」

「描いたら描いただけうまくなる。最初の頃の絵と最後の時のとは全然違うな、って。」

と自分の変化にも気づいていったようです。それでも、

「でも、絵本はもういいかな。よくわからないけど、くまんだらの方がモチベーションが高い。」

と語る姿が、しっかりと自分軸をもった彼女らしさを感じさせました。

この「くまんだら」とは、小さな小さなくまを曼荼羅のように描き重ねていったもの。

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未完成ながら、既にくまの数は2,300を超えているそうです(これは学園の数学博士の試算)。

発表が終わると、子どもたちは絵本のかわいらしい原画に群がり、釘づけになっていました。

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作品は近くKindleで出版予定だそうです。

 

 

振り返ると、どのプロジェクトにも本当にその子らしさがよく表れていたと思います。

中学3年生は、もちろん他の学年以上に進路についても考える時期です。

そういった時期に自分自身にしっかりと向き合い、何かに没頭しながら試行錯誤できる時間があること、改めて大切なことだなあと感じさせてくれた、個性豊かな発表会になりました。

3年生の皆さん、素敵なプロジェクトを披露してくださってありがとうございました!

(D.H)

<以下、2018年3月6日追記>

そして、発表当日に欠席だった一人が、別日の中学部ミニ講座の時間(11:40~12:00)にプレゼンテーションをしました。

 

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小学部の人が昼休みで、たくさん見に来てくれました。

取り組んだのは『写真』でした。

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写真を撮ることが好きだということで、家族で行ったニュージーランド・ハワイ、それから中学部で行った台湾の写真、さらに学校行事や日常の写真を撮りためて、パソコンでムービーを作りました。

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写真が好きなことと、それをテーマに何をつくるかを考えてきたことを発表し、実際に作ったムービーを上映。

 

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3分ほどの動画は、音楽と共にいろんな景色や場面が流れるものでした。

海外の綺麗な景色や、学校のみんなとの思い出が流れてくる、とてもいきいきした動画でした。

その後に、どのように動画を作ったのかをスクリーンショットをもとに説明してくれました。

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ずっと写真を撮ってきて、動画の作業は1ヵ月だったそうです。中学生でその期間でこれだけのものを作って、これだけのものが伝えられるのか、と感心させられる素敵な作品でした。(J.S.)