第66回教育カフェ・マラソン~金光敏さん コリアNGOセンター事務局長~


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第66回教育カフェマラソン、話題提供者は金光敏(キム・クァンミン)さん、コリアNGOセンターの事務局長です。 在日コリアンの3世の方です。

 

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この日はファシリテーショングラフィック、というかグラフィックレコーディングをしていただきます! キャサリンさんです♪ 司会はぶっきーです!

 

済州島にルーツがあるという金さん。大阪市の生野区で生まれ育ちましたが、済州島は大好きだそうです。

幼少の頃の暮らしのお話。 へっついさんのこと、なんば炊けたで〜、という昔のお話…にぬきをもらってくるお話… こんなお話わかりますか? 言葉がわからないなら、もしかしたら教育の帝国主義に毒されているかも…!?

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参加者の方からの投げかけを受けて、生野区の昔のお話。 猪飼野、猪甘津、という言葉が使われていました。 この頃の渡来人は、今の日本人のDNAに近い感じ。在日コリアンの方々はもっと後に日本に来られた方の子孫です。

生野区で育ち、小学校から大学院まで学びました。 そうしている内に、日本の多国籍化が進みました。 その中で外国にルーツを持つ人の中に、いろんな困難にぶつかる人、そんな子どもたちが見えてきました。

貧困、孤立、困窮…、いろんな困難に苛まれる子どもたちの姿。それはご自身の経験と重なり、怒りや憤りになっていきました。 それが今の活動の原動力。

フィリピンルーツの小学校5年生の子が「高校には行かない」と言った。なぜか… その子のお家は母子家庭で、お母さんは歓楽街でホステスをしていて、若いホステスの人たちがお家に出入りしていて、彼女にとってのロールモデルはそれしかなかった… 高校に行く意味が感じられない。

そんな様子に感じるものがあった。 …国籍の違いによる扱いの違い。 金さんご自身の子どもの頃も、朝鮮人として生まれたことが不幸だと思って、社会にそう思わされて生きてきた。保険証が持てないなど、権利がなかった。 大きくなったら家出しようと考えて生きていた。

そんなご自身の境遇と、フィリピンルーツの子どもの話が重なる。 その子が学べる場所を探し、滋賀まで行き来したこともあった。 同じような境遇の子どもの話。授業はわからないからいつも授業中はずっと絵を描いている…

日中ずっと絵を描いている、そんな学校生活が楽しいはずがない。 そして彼は昼ご飯を食べない。お母さんが作ったお弁当が臭いと言われ、皆の前で食べられなくなった。 その内持っていかなくなった。

それは、ご自身の親の世代、お弁当には白米とかろうじてキムチだけが入っていて、それを馬鹿にされるということがあった、そんな出来事。 それとそのまま重なる…

学校で物がなくなると、何故か自分のせいにされる。 それも昔も今も変わらない現実としてあった。 それが怒りや憤りとなって、活動の原動力になっていった。

そして今はNGO/NPOとして、いろんな方のサポートを事業としてされている。 日々いろんな方から相談がある。 起こっていることには、必ず理由がある。 何もないところにそれが起こることはない。

怪物のような目つきをして、最初は金さんにも暴力を振るうような子どももいる。だけど、粘り強く話を聞いている内に、歳相応の目を見せることがある。 そんな風にしてずっと寄り添っている。

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“どの子もひとりぼっちにしない” それは被害にあった子だけでなく、加害者になってしまった子も。そこに無関心になったり、無理解だとすぐに孤立する。 “ごんたくれもまるがかえや” 支援する側が相手を選ばない。出会った人は皆まるがかえ。

金さんが、この現場で自分のできることはそれだけ。 何かに特化した専門家ではない。支援する相手を選ばず、出会った相手に合わせてできる支援をしていく。 そんなスタイル。

外国の子どもたちは大事にされているのか。 その子たちにあった支援がなされているか。公平や平等という言葉を振りかざして、合わない人を切り捨てているのではないか。

理由なき荒れはないんだ。 荒れてしまうことには必ず背景がある。そこに目を向けることを忘れないでいたい。

 

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・外国ルーツの子どもは大切にされているか。それに合わせた支援は何か。

・子どもの背景に迫るには (どんな子もまるがかえするために、地域でそれぞれがどんな風に関わるか。関心を寄せるためには)

の2つが熟議のテーマでした。

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ちなみに、グラフィックレコーディングは、こんな感じになりました! 燃えてますね…。ありがとうございました〜。

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自分が白紙になってその子に関わり、ありのままに寄り添う。 威厳を持っておさえ込むのでなく… 理解しようとするのではなく、ただそばにいること… 熟議のシェアが行われました!

幅が広い、ということが大事。 非寛容の人も寛容な人もいる。寛容な人ばかりだと、それはそれで大変かもしれない。 当事者が柔軟に選ぶことができる、というような幅の広さが必要ではないか。

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それぞれの活動が、最後は政治につながっていかなくてはならない。それぞれの1票で、社会を変えていく、という意識があることが大切。 そういう面に関する教育も必要。 それに向き合い発信していこう。 金光敏さん、ありがとうございました!(J.S.)