2021年前期は「見えないコスト〜つかう責任〜」をテーマに学習に取り組んでいます。
今日は大阪・能勢の山あいでフェアトレードのお店をされている、
エスペーロ 能勢の斉藤かずこさん、テリーさんのお話しを聴きました。
斉藤さんからは、私たちが日常の暮らしで触れている商品は
アジアやアフリカ、世界のさまざまな国から運ばれてくること、
そして商品の背景には作られた地域の文化や物語があることを紹介いただきました。
はじめにフェアトレードとは多国籍企業に頼らずに、生産者と直接つながって
生産者の生活と環境を壊すことなく、公正な取引が行なわれること。
今日はバナナ、コーヒー、チョコレート、服をたとえに詳しく教えていただきました。
コーヒー豆の多くは、東南アジアなどの発展途上国で生産されています。
ですが、そのほとんどの消費を先進国が占めていて
コーヒー豆の値段を決めるのも、先進国の強い影響力があること、
また生産者の8割が小規模の農家であり、少数の大規模栽培の企業に利益が集中するため
農家さんに十分な利益が届かないことを教えていただきました。
ここで斉藤さんからコーヒー豆のクイズ!
「自由貿易(現在の貿易制度)で取引されるコーヒー豆、
100 g 400円のうち、農民が受け取るお金はいくらでしょうか?」
子どもたちからは「40円くらい?(10%)」
答えは、なんと自由貿易だと8円、わずか 2%。
思った以上に、生産者の受け取りが少ないことがわかりました。
一方フェアトレードだと「79円(20%)」で
生産者に届くお金は、自由貿易の10倍ほどになるのだそうです。
身近にある、ファストファッション。その背景にはストーリーがあります。
安価に手に入る服、それを支えているのは、コストを抑えて作られている過程にあります。
服などの縫製品の輸出は、バングラデシュが世界第2位。
そのバングラデシュで2013年に起こった「ラナプラザの悲劇」
縫製工場のビルが倒壊し、1,000人以上の多くの方が犠牲になった事件です。
その縫製工場では、先進国へ輸出される服が作られていましたが、
コストをおさえるために安全ではない労働環境で、多くの人々が働いていました。
そうして以前より指摘されていた建物の危険を後回しにされていたころにおこった事件でした。
大量生産・大量消費の裏で起こっていること、私たちの生活も知らず知らずのうちに
その一端を担い、加速させているのかもしれません。
そのようなことを見つめ、
エシカル消費なエシカルなファッション、(ひと・環境・未来にやさしい暮らし)
を見分けていくことが大切だと伝えていただきました。
子どもたちからの質問は
「オーガニックコットンと普通のコットンとのちがいは?」
「フェアトレードにはメリットがある一方、デメリットはありますか?」
斉藤さんからは、デメリットとしては
フェアトレードは基準が高いため広がりにくい、ということがある。
ただフェアトレード以外のものと対抗するためにあるものではなく
フェアトレードは「そこに問題点があるということを提起しているもの」とお話しされました。
フェアトレード商品は、私たちの消費の中にある
見えていない数々の問題を教えてくれているもの、ということに気づかされました。
そして谷川俊太郎さんの「そのこ」という絵本を読んでいただきました。
“ぼくがともだちとあそんでいるとき そのこがひとりではたらいているのを”
貧困の格差、児童労働。けっして世界の遠い国で起こっていることではなく、私たちの
暮らしとほんとうはつながっていること。中学生も、斉藤さんのお話に静かに聞きいりました。
最後に「お買い物とは どんな社会に1票を投じるか ということ」
というメッセージを伝えていただきました。
斉藤かずこさん、テリーさん、貴重なお話をありがとうございました(R.T)