1学期のワールドオリエンテーション”見えないコスト〜使う責任〜”


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今回のワールドオリエンテーションのテーマは「見えないコスト―つかう責任」

コストとはものを生産する際にかかる費用のこと。今回は費用だけでなく、ものを生産する際にかかる時間や労働力も含めてコストととらえることにしました。

「見えないコスト―つかう責任」とは、どういうことか。私たちの身近にあるもの・使うものが作られるまでの過程にある問題を探り、使う側(消費者)として、何をどのように使うのか、使い終わった後のことも考えてものを選ぶ責任を考えていきます。

身近なもののルーツをたどる

もののコストを考えるうえで、まずは自分たちの身近なものはどこで作られて、何でできているのかをグループに分かれて考えてみました。パーカー、カップラーメン、チョコレート、タブレット、それぞれ商品についているタグやパッケージなどに記載されている情報をもとに読み解いていきました。

「made in chinaということは中国で作られたってことか」

「このロゴマークはリサイクルの意味やな」

「フェアトレードって書いてある」

「ポリエステルって何?プラスチック?」

知り得た情報をもぞう紙に書き込んでいきます。そして、最後はグループごとに発表をしました。

今回、同時にわからない情報も出てきました。どこの国の工場で作られたかはわかるけど、原材料をどこで仕入れてるかまでは分からない… 私たち消費者が得ることができる情報と、見えていない部分があることがわかりました。

そして、実は世界で起きているできごとと私たちが関係しているということを知りました。

例えば、オランウータンの数が減っていること、アフリカのコンゴで紛争が起きていること、子どもたちが安い賃金で働かされていること・・・これらは私たちとどう関わりがあるでしょうか?

カップラーメンに含まれるパーム油をとるためにオランウータンの住む熱帯雨林を切り開いてアブラヤシが植えられている。タブレットに使われるレアメタルを採掘するためにその地域に住む人たちが紛争に巻き込まれている。チョコレートの原料であるカカオの農園では子どもたちが学校も行けずに働かされている。

これまで知らずにいたことに、「知らなければよかった」という声もありました。知ってしまうと、見て見ぬふりはできなくなってしまいます。

学校の中のプラスチック探し

先のグループワークで調べた4つのものに、共通して使われているものがありました。

それは、プラスチック。製品の中に使用されていることもあれば、パッケージに使われていることもありました。

そこで学校にはどんなプラスチックがあるのか、調べてみました。ペットボトル、ペン、ピンポン玉、ハンガー、ジップロック、ファイル、ハンドソープのボトル、ゴミ箱、時計、リモコン・・・・学習室、キッチン、多目的室で探したところ、短い時間でもたくさんのプラスチック製品が出てきました。

プラスチックごみ

こんなにもたくさん使われているプラスチックですが、今、このプラスチックが海に流れ出て大きな問題が起きています。このままだと海には魚よりもプラスチックごみが多くなるとも言われています。プラスチックはマイクロプラスチックと呼ばれる小さな欠片となり、巡り巡って私たちの体にとりこまれることもあります。死んだ海鳥のおなかの中から、大量のプラスチック片が出てくる映像を見て、衝撃を受けていました。

ここから、どうすればプラスチックごみを減らせるのかを考えていきました。

代替できるものを考える

最近ではプラスチックを使わない製品が開発されています。例えば、紙と金属で作られたカミソリが販売されていたり、カフェなどでプラスチックではない紙のストローを使ったことがある人もいました。

そこで、学校にある身近なプラスチックでできているものを、他の製品に変えることができないかを考えてみました。

「プラスチックのふみ台は木でもいいんちゃう?」

「でも、なんでもかんでも木に変えてしまったとして、木は足りる?」

「ジップロックの代わりにホーローとかの容器に保存する」

「むしろ、繰り返し使えるように、ジップロックを強くぶあつくしたらいい」

「冷蔵庫って部品にプラスチックが使われてるけど、これを別のものにはできないよね…」

考えていく中で、プラスチックでないと困りそうなものも出てきました。プラスチック製品をすべて違う素材に変えればいいということでもないようです。

プラスチックについて知る

そもそも、プラスチックとはどういう素材なのか、実はよくわからないということで、スタッフののりちゃんから教えてもらうことにしました。のりちゃんからはプラスチックの種類やそれぞれの特性について教えてもらいました。

また、プラスチックのない生活をしていた頃の話もしてくれました。コンビニやスーパーがない時代、プラスチックで個包装されているものはなく、豆腐屋さんや八百屋さんに容器を持って行って買い物をしていたそうです。

「昔はエコな暮らしをしていたんやな」

今ではプラスチックのない生活は考えられないけれど、一昔前はそれで生活が成り立っていたことに驚きを隠せませんでした。

グループワーク

プラスチックの問題を「どんな社会で暮らしたいか」という視点で考えてみることにしました。グループに分かれて調べながら、アイデアを出していきました。

◎夢のコンビニ  NO プラショップ

2つのグループがこのテーマで発表しました。今のコンビニがプラスチックを減らすためにどのような取り組みをしているか、また、海外にあるプラスチックを使わないマーケットについても調べました。

別のグループでは、プラスチックを使わない製品を調べていきました。脱プラのために製品開発している企業や、注目される新たな素材としてバイオプラスチックを取り上げていました。

◎プラのある今とプラのない昔の生活

プラスチックがいつごろから使用されるようになったか、プラスチックでどのように生活が変わったかを調べていました。まーちゃんにインタビューをしたところ、「夢の素材」としてプラスチックが出てきた頃のことをよく覚えているとのことでした。

◎リサイクルの現実と未来

このグループでは5Rについて調べていきました。リサイクルだけでなく「Reduce、Reuse、Repair、Return、Recycle」の5Rに取り組んでいく必要があります。なかでも、これからは生活の中で「ごみを出さない(Reduce)」選択をしていくことを取り上げていました。

グループワークを終えると、いよいよ個人でテーマを定めて探究を深めていきます。これまでのゲストのお話やグループワークから着想を得て、テーマを絞り込む人もいれば、自分の関心ある分野に関連したテーマを見つける人も。

どんな内容になるのか、発表が楽しみです。前期のワールドオリエンテーションの発表は2学期を予定しています。(S.N)

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