10月5日(金)の午後、中学部の選択プログラムとして
manabeeプログラムの受講者3人(チーム名:コドモ・モリー)が、
『 人生ゲーム作り 』という共育プログラムを実施いたしました。
中学部8人の参加者は、2グループに分かれて、
時間いっぱいにぎっしり詰まったスケジュールのプログラムに
取り組んでくれました。
まずはプログラムの内容決定までの経緯をお伝えします。
私たちチームは、9月に実施された「共育プログラム作り」の時間内で
考えた内容では・・・
「選択プログラムなので、まず選択をしてくれる内容なのか?」
「2コマという長い時間を持て余さないか?」
などのフィードバックを頂き、それらを課題として一旦持ち帰ることにし、
プログラム内容を再検討することになりました。
その後、「中学部のこどもたちにとって興味があり、メリットがあるもの。
そして楽しいと思ってもらえるものが良いのではないか。」との思いや
話し合いで出た「自分史」というワードなどから、
『人生ゲーム作り』
という提案があり、他のメンバーもその思いに賛同し、
こども達に、“ワクワクしながら将来について考えてもらうこと”を第一に、
そこに「自己肯定感」「自己決定」「対話」「ESD」の4つを実現することを
目標とし、内容決定してから本番まで2週間余り、忙しくも充実した日々が
始まりました。
「こども達とのプログラムは予想外のことが起こったりして、
思った通りにいかないです(笑)」
「みなさん自身が楽しんでください!」
とのサポートスタッフさんの応援&アドバイスに、
「予想外のことってどんなことが起こるかな~(笑)」と、
ワクワクしながらミーティングの時間を過ごし、
それぞれ資料集めや進行表作り、ワークシート作りなどに取り組みました。
作り進めて行く中で特に良かったのは、
メンバー全員がプログラム実施日までに、中学部の「こども一日体験」に
参加できたことです。
こども達の興味や話合いの様子も少しわかり、
初対面ではないことでお互いが安心して当日を迎えられたと思います。
そして、本番の日。
中学部のこども達に「座る場所は好きな所でいいよ。」と言うと、
男子4人のグループと女子4人のグループに分かれました。
これは初めから予想外でした・・・
プログラムの内容は、時間が足りないくらいのボリュームでしたので、
さっそく簡単に流れを説明し、初めてもらうことになりました。
私たちは『わたしの森』『みんなの森』『未来の森』の
3枚のワークシートを用意しました。
『わたしの森』『みんなの森』は、人生ゲームのすごろくのシートになっていて、
空白のコマに書き込んでもらう様式で、『未来の森』はふりかえりのシートです。
はじめに、『わたしの森』のすごろくシートで、
生まれてからのことをふりかえり、「好きなもの」や「一番うれしかったこと」
など、“自分について書きたいこと”をコマに書き込む、個人のワークに
取り組んでもらいます。
こども達はリラックスした様子で、質問をしたり、
グループで会話したりしながらも「○○になりたい」など、
コマを埋めていきました。
そして次に大きなすごろくシート『みんなの森』に移り、
グループで対話し、コマを埋めていきます。
まずは、“箕面こどもの森学園に入学してから卒業するまで”の今現在の部分。
「印象的な出来事」などをコマに書き込みます。
ここには「年号が令和になった。1マスすすむ」
「夏祭り。10万円もらう」など書かれていました。
ここまでが過去や今現在について考えてもらう部分で、
次の“卒業後~最後のコマ70代~”の「将来の部分」を書き込んでもらうのですが、
その前に一旦、「どんな未来になると思う?」と質問を投げかけ、
未来予測データなどの資料や動画を見たり、インターネットで未来について
調べたりする時間を持ち、「これからどんな未来にしたい?」と
じっくり対話したいなぁと、メンバーは計画していました。
しかし、声をかけ、少し資料を見てくれたものの、
こども達は早く将来のコマを埋めることに夢中になっています。
ここも予想外の展開です・・・
メンバーの「興味を持ち、夢中になっている流れを大切にしたい。」
という思いもあり、ここはしばらく見守ることにしました。
男子グループは大きな用紙を地べたに置き、将来のコマの「職業:~になる」の部分から盛り上がりながら書いていきます。特に「ニート」「AI」というワードに興味を持ち、ゲームの要素である「〇万円もらう」、「〇万円失う」もしっかり盛り込みながら書き進めていた印象です。
女子グループは、将来なくなるかもしれない職業を調べて、自分のやりたいことが無くならないかインターネットで調べていたり、AIについて、バーチャルアイドルについても話したり。「こどもが産まれる」や「病気になる」、「離婚する」などのコマもありました。
全てのすごろくのシートを一通り書き終えたところで、
予定していた、“SDGsを考えるユニセフの動画”をみんなで見て、
「未来がどうなると思うか?どうしていきたいか?」
という対話の時間を持ちました。
その中では、「AIに仕事を取られないか」「AIと適度に付き合いたい」など
“AIとの共存に向けた社会“への不安を持つ発言が多くみられました。
そんなこども達の将来への気持ちや考えを聞かせてもらうと、
大人世代の課題、責任なんて言葉が頭をよぎります・・・
そして最後のふりかえりのシート『未来の森』です。
“人生ゲーム作り”をふりかえって、「将来こうなりたいな。こんな社会に住みたいな」
など自分の思いを書き込むワークです。
ここでは、ゲーム作りで両グループとも、“ネガティブワード”を書いて
盛り上がる傾向にあったのですが、「病気にはなりたくない」
「AIのできないことをしたい」「○○を大切にしたい」などの意見があり、
「それぞれ自分なりの思いを確認してくれたのかな?そうだったらいいなぁ。」と
私たちは願いつつ、ワークを終えました。
そして残り時間は作った『人生ゲーム』で遊ぶ時間です。
それぞれメモに獲得したお金の金額を書き込みながら、
時間いっぱい遊んでくれました。
中学部のみなさん、お疲れさまでした!
プロブラムを終えて・・・
「グループ分けについて」や
「未来の資料をじっくり検討する時間をしっかり区切る」などの
予想外の出来事への対応への課題はありますが、
こども達が興味を持って全てのワークに取り組んでくれて、遊ぶところまで
できたことが何よりもうれしく、ひとまずホッとして、充実感に包まれました。
そして、「学校の授業では、この時間でこども達が何を学んだか、
具体的に何を提供できたか、そこが問題になる。」という話があり、
授業との違い、プログラムの意味などに思いを馳せましたが、
サポートスタッフさんの「ネガティブなものをみなさんなら受け入れてもらえると
こども達が感じたから、そういうのを出せた場になっていたと思います。
そしてこういったものは、それぞれに時間を経て響いてくるものだと思います。」と
フィードバックして頂き、心があたたかくなり、「そんな場にできたのではないかなぁ」と、ふりかえることができました。
最後まで心強いサポート、ありがとうございました。
最後に・・・
「人生ゲーム作り」のプログラムを通してこども達に、
「それぞれに歩んでいく未来だけれども、決して一人きりではなく、
あたたかい人間関係や社会に包まれた中で、自らの理想の未来を創っていって欲しい。」そんなメッセージが伝わっていればいいなと思います。
コドモ・モリーのメンバーは年齢も経験も違うもの同士であるものの、
プログラムを作っていく中で、こども達に行うプログラムの真の目的を共に考え、
自分らしく関わり、お互いを尊重し合えたのではないかと思い、
manabeeプログラムでの「経験を伴った学び」の素晴らしさに感動し、
そんな体験をさせてもらえたメンバーに感謝いたします。
そしてそこにはスタッフのみなさんが私たちをあたたかく受け入れ、
見守ってくださる関わりがあったからで、
私たちもまた、周りにそんな関わりを提供していきたいという思いです。
箕面こどもの森学園のこども達、スタッフのみなさん、manabeeで出会えたみなさん、ありがとうございました!