【中学部 世界の料理 】ペルー共和国


今回の世界の料理はペルー。赤道直下のアマゾン川、アンデス山脈やインカ帝国などで知られる南米の国です。南半球にあり、日本とは気候が反対の遠い国のイメージですが、私たちとのつながりはあるのでしょうか。

事前学習:南米にある国ってどんな国?どんなところ?

まず南米にどんな国があるのか、アマゾン川やアンデス山脈はどこにあり、地域によってどんな気候になっているのかを白地図に国名を書き入れながら地図や参考資料、画像を見ながら学習しました。

南米の国ってわかれへんよな~。

え~、この国の名前なにかな~。

アマゾン川って赤道の近くにあるのか~

アマゾン川流域は赤道直下で高温多湿の亜熱帯性気候ですが、南下するにしたがって気温が下がり、温暖湿地帯の草原パンパを経て、乾燥寒冷地帯のパタゴニアにつながります。アンデス山脈は地球上でもっとも長い山脈で南米の7か国にまたがっています。地下資源が豊富で鉄鉱石、石油、銅、コーヒー、バナナ、牛肉などの輸出が盛んです。

15世紀ごろは古代インカ帝国が栄えていましたが、スペインにより滅ぼされ、サトウキビ畑の労働者としてアフリカから黒人奴隷が数多く連れてこられたり、19世紀以降は世界各国から移民を受け入れてきました。日本からも多くの人々が移り住み、子孫の日系人がブラジルに130万人、ペルーに8万人、アルゼンチンに3万人以上も暮らすようになりました。

日本政府からの移住の勧めもあったと知りびっくり。遠い異国に希望を持って、多くの人が海を渡って行ったのですね。今もたくさんの日系の人々が暮らしています。

 

ペルーってどんな国?

古代インカ帝国時代の都市遺構がマチュピチュにあり、大規模な石像建築が見られ世界遺産になっています。文字を持たない文明であったために「キープ」と呼ばれる縄を編んだもので情報を伝達し、皇帝は太陽の子「インカ」としてあがめられたことを学習しました。

現在、人口約3000万人のペルーは、1821年にスペインから独立し、金、銀、銅、すずなどの豊富な資源の輸出によって支えられています。漁獲量も世界有数でアンチョビなどを加工して輸出しています。

食文化としては、主に海岸砂漠地帯、アンデス山脈周辺、アマゾンの熱帯雨林地域の3つの地域の影響を受けた料理のスタイルが存在します。また多様な国からの移民の影響を受けて、独自の食を発展させてきた美食の国です。ペルー料理にはアンデスの作物であるじゃがいも、トウモロコシやキヌアという穀物がよく使われます。じゃがいも、トウモロコシは色や大きさによって数百種類あると言われていてその数に驚きました。

調理実習:作りたい料理をグループに分かれて作りました。

今回は4つのグループに分かれてパパレジェーナ、エンパナーダ、ロモサルタード、ピカロネスを作りました。

パパレジェーナはひき肉、玉ねぎ、ピーマン、にんにくを炒めてクミンなどの香辛料で味付けし、ゆで卵を加えた具をマッシュポテトで包み、油で揚げたコロッケです。

マッシュポテトで包むのが難しく、かなり苦戦しました。

「こんな形でいいんかな~。むずかしいな~」

でも、フライにする手つきはなかなかのもので、良い感じに揚がりました。

レシピを見ながら、担当の料理を作ります。

具をマッシュポテトでつつむのが、難しいな~。

いい色に揚りました。

どれぐらいの大きさに切ったらいいのかな~。これぐらい?

 

エンパナーダは、具材はパパレジェーナとほとんど同じですが、薄力粉で皮を作りギョーザのように具を包んでオーブンで焼きます。

皮を作り、伸ばす作業を真剣に、ていねいにすすめて具をつつんで焼き上げました。形が少しずつ違うところがユニークな仕上がりになりました。

「なんとか、全部包めたよ。」

卵液を上に塗ってからオーブンにいれます。

 

ロモサルタードは牛肉、玉ねぎ、パプリカ、トマト、にんにくを炒めクミン、オレガノ、しょうゆで味付けし、フライドポテトと共にご飯に沿えて食べる料理です。ご飯を炊く人、フライドポテトを作る人、炒め物を作る人それぞれが協力しあって進めました。

中国の移民の食文化の影響を受けていて、馴染みのある味の仕上がりです。

量が多いので混ぜにくいな~。

 

ピカロネスはかぼちゃとサツマイモを使ったペルーのドーナツです。

具材を蒸してつぶし、卵、砂糖、薄力粉、ベーキングパウダーを加え、混ぜたものをドーナツ状に形づくり、油で揚げます。

「ベチャベチャになったけど、こんなんでいいんかな~」

思った以上に生地が柔らかく、揚げるのに苦労しましたが、良い色に仕上がりおいしそう。黒砂糖で作ったソースをかけて出来上がり!

指で真ん中に穴をあけたよ。

ちょっとベチャベチャやけど大丈夫かな~。

 

今回の調理実習では、それぞれが真剣に手を動かし、黙々と作業をすすめる場面もあって、こどもたちの集中力に感心しました。出来上がった料理はどれも満足のいく味になり「おいしい!おいしい!」と何度も口にする人もいて、みんなで作った料理を一緒に食べる豊かな時間を過ごしているな~と感じました。

美味しそう。いただきま~す。

できあがり!

ペルーの国のまとめ

こどもたち個人個人で、ペルーの国に関して興味、関心があることを調べました。

「ペルーの国旗」「ペルーの料理」「ペルーの主食」「パパレジェーナ、エンパナーダ」「ぺルーのマナー」「ペルーの観光名所」「ペルーの家」「ペルーの超自然」「マチュピチュ」「ペルーのスポーツ」のテーマでまとめました。

 

海が近い地域と山岳地域の食材のちがいやさまざまな唐辛子を使った調味料の紹介、黒や紫のトウモロコシ、よく使われるじゃがいもの品種、食事のマナーのちがい、マチュピチュ・クスコの世界遺産、地域による家の造りのちがい、渓谷や砂漠の自然の美しさ、人気のスポーツ、作った料理のレシピなどペルーの国の一端を知ることができる冊子になりました。

 

こどもたちの感想からは「ペルー料理はあまり関わりがなかったけれど、ペルーの国や料理が知れてよかった。思ったより日本に近かった」「ペルーがどこかも知らなかったけど、ワールドトラベルアワードでビックリした。料理もおいしかった。クミンを料理によく使う事がわかった」「ペルーの食事のマナーがかなりきびしいなと思った」「ラクダのバギーに乗って砂漠を上り下りしたり、夕陽に照らされた自然を見たい」などがありました。

それぞれに興味のあることを調べまとめました。

冊子の出来上がり。

あまり知らない遠い国だと思っていたペルー。私たちの食卓に上るジャガイモやトウモロコシのルーツがあり、また日本人の移民の子孫が今も多く暮らしていることを知り、少しながら自分たちとのつながりを感じられたのではないかと思います。

これからも色々な国の歴史や食文化を知ることから、世界の国に関心をひろげ、多様な社会を受け止めることにつながればと考えます。

m.y