【海外研修旅行】2024マレーシアの旅④ 子どもの自己決定とサステイナブルな暮らしを実践するコミュニティ


前回に引き続き、マレーシア研修旅行記です。

X 全日程のまとめはこちら↓(とってもこまめにツイートしてくれてて、ライブ感満載です)

 


旅の中盤。
心も身体も疲れが見え始めました。

マレーシア5日目。
旅もいよいよ後半戦。
ここにきて、みんなの中に疲れや気持ちの乱れが出てきている様子だったため
5日目の朝は、朝食前にハッピータイムの時間を取り、
昨日までのことを振り返ったり、今の気持ちをシェアしたりすることにしました。
貴重な経験に楽しんだ部分と、環境の違いもあってしんどい部分と、
それぞれに気持ちを出し合うことができました。
今回研修旅行初参加のスタッフも、ついうっかり涙。
みんなで静かに聞きあう時間は、心の整理がつく大切な時間となりました。
朝食はお粥。
やさしい味が疲れた体を癒してくれました。
朝食も子どもの家の子どもたちと一緒にいただきました。
子どもたちの肖像権があるため、写真の掲載は控えさせていただいてます。

環境のこと、教育のこと。
子どもの家とコクレオの理念には
驚くほど共通の理念がありました。

今日の午前中のプログラムは、CFFさんの理念や活動内容紹介でした。

CFFは「Caring for the Future Foundation」の頭文字をとった名前で、
「持続可能な施設運営を通して、未来の基盤を作ること」を意味しているそうです。
CFFが掲げるミッションは「5CARE」と呼ばれる以下の5つ。

自分・他者・社会・環境・未来をケアすること

 

自分も人も大切に

特に最初の2つは「自分」と「他人」、つまり「自分も人も大切にする」ということ。
これは学校で普段から子どもたちといつも共有していること。
社会や環境をよくすることで、より良い未来をつくっていきたいという想いも
わたしたちと一緒でした。
ここでは様々な事情で両親から十分な愛情やケアを受けられない子どもたちが過ごしています。
ここに来た時、体の洗い方を知らない子がいる。
トイレの仕方もわからない子もいる。
そんな子どもたちが、ここで共同生活をすることで実践しながら学んでいるそうです。
ここにきて初めて学校に行けるようになった子も。
ここでは、自分も人も大切にすることが習慣になる、と語ってくださいました。

未来を担うリーダーになってほしい

マレーシアはゴミ処理問題を抱えています。
現状はただゴミを集積するだけ。
子どもの家では分別をしっかりやっていますが、結局最後は集積所でいっしょくたになってしまう。
じゃあ、分別する意味なんかないじゃないかと思うかもしれませんが、
でも、いつかのために、子どもたちにリーダーになってもらいたい。
CFFには、そんな想いがあるのです。
子どもの家のメインハウスにはソーラーパネルがあり、
雨水利用、川の水、湧き水も使っているそうです。
これらのエネルギーを使って生産活動をしています。
食べる→残飯→たい肥→畑→食べ物
この循環の中に、この時、わたしたち全員がいました。

一人ひとりに合わせた個別支援プログラム

次に、子どもの家スタッフの方が、
子どもたちの支援方法について具体的に話してくださいました。
ここでは4か月ごとに支援プログラムを作っていて、
各自が目標を立てているそうです。
子どもが自分で決めることが大事です、とおっしゃっていました。
コクレオの考え方と同じです。
子どもたちは朝、地域の学校に通い、帰って来てからは
子どもの家でも学習したり、音楽を学んだり、
身の回りのことを自分でできるようになることなどがサポートされます。
卒業生の中には、サバ大学で音楽を学ぶ人や、ホテルの料理人になった人もいるそうです。
卒業生がここに戻ってきて子どもたちをケアする人になるという、
持続可能な仕組みを進めているそうです。
20歳~30歳の人たちがリーダーとなり、
30歳~40歳の人たちがメンターとなり、
その後はシニアとなって、子どもの家を運営していく。
それを実現するために何より必要なことは、
今、ここにいる子どもたちを愛すること。
そうおっしゃっていました。
愛をたっぷり注がれることで、
子どもの家がその子にとって「ホーム」となるのです。

子どもが自己決定し輝く場を

CFFマレーシアの子どもの家。
2005年にジャングルだったこの土地を代表の安部さんが購入したそうです。
持続可能な場を、家族になるような場を作りたい。
寄付に頼らない自立した場を、
自己決定し子どもが輝く場を作りたい。
一人ひとりが国のリーダーになる可能性がある。
そんな想いで運営されています。

こちらが代表の安部さん。ここでは「お父さん」と呼ばれています。

 

中学生たちから質問

スタッフの方たちからの説明が一段落したところで、
中学生たちからの質問に答えていただきました。
〇中3男子
「ここはクリスチャンばかりなのはなぜですか?」
A.マレーシアの国教はイスラム教なので、イスラム教徒は国に優遇されます。
クリスチャンはマイノリティ。
イスラム教の児童養護施設はたくさんありますが、キリスト教仏教は支援を受けられないのです。
なんと、これにはショックを受けました。
マレーシア国民なのに宗教によって差別を受けているとは。
〇中2女子
「ここの子は、家に帰ることが目標になるのですか?」
A.家族が結びつくことが最終ゴールです。
親と面談してここで大切にしている考え方を伝えます。
年に2回、ホームビジテーションがあります。
親御さんとの対話はきっととても大変であることが、簡単に想像できてしまいますが、
スタッフの方たちは愛を持って粘り強く対応されているのだと感じました。

想いあふれる青年たちの手で作り上げられた施設

さて、午後からは広大な敷地内を案内していただくツアーがありました。
ツアーのスタート地点は、子どもの家の入口から。
一番最初、ここがまだ何もないジャングルだった頃に、
CFFのワークキャンプに参加した青年たちが
石ころひとつ岩一つを手で取り除きながら、少しずつ切り拓いていったそうです。
ワークキャンプを積み重ねていく中で、少しずつ道ができ、建物ができ、
畑や魚の養殖ができる池ができ、
子どもたちが過ごせるようになり・・・
今に至るまでの道のりが本当に壮大で、ただただ圧倒されました。
けんじぃやシャシャも、このワークキャンプに参加したことがきっかけで
人生が大きく変わったそうです。
お二人の感動的なパーソナルストーリーにも触れ、
活動にかける思いが伝わってくる時間でした。
また、ここは地域のクリスチャンに支援されていて、
地域の人たちとも一緒につくり続けているそうです。

道に大きく「6」と書かれているのは、第6回ワークキャンプでここまで道ができたことを示す印だそうです。

養殖池

貯水タンク。ここはシャシャがキャンプリーダーとして担当した場所だそうです。

養鶏場

 

養豚場

敷地内にある山の上に向かう途中の道。土砂崩れしないように古タイヤが置かれていました。これらはすべて、青年たちが担いで運んだものだそうです。

山のてっぺん。ここに教会を作る予定だそうです。

先住民族の村にホームステイ

午後からは2泊3日のホームステイに向けて準備をして、
ホストファミリーがいる村に移動しました。
ホームステイ先は全部で6軒。
中学生たちはそれぞれ2~4人のグループに分かれ、これから各家庭でお世話になります。
お家は近いところもありますが、車でないと行けない距離のお家もあり、
ここからはみんなバラバラになりました。
ジャングルの中、Wi-Fiがないお家や、あっても電波が弱く時々途切れる場所もあり、
お湯なし水シャワー、マレー式トイレと、
日本では決して体験できない異文化の暮らしが始まります。

こちらはアンティ・ノリア(ノリアおばさん)のお家

こちらはパスター・ジャザルス(牧師さん)のお家。日本からのおみやげを渡しているところです。

明日は、各自がホストファミリーと1日一緒に過ごす時間です。
それぞれがどんな風に過ごしてくるのか、楽しみです。

(A.M)