司会、記録、ボード係って
どうやればいいのかわからない。
1月14日(火)の午後、クラス全員参加で「会議の進め方ワークショップ」をしました。
ことの発端は、2学期の中集で
「話し合いの時の司会、ボード係、記録係をどんどん引き受けてほしい」
とスタッフから話を持ち出したことから始まります。
この時、何人かの子どもたちから
「やろうと思ってもやり方がよくわからない」
という声が上がりました。
特に中学部から入学してきた人は、概して話し合いの経験が少ないため、
そう感じることもむりないことと思います。
実は何年か前に「会議の進め方ワークショップ」を全クラスでやったことがあり、
それを境に子どもたちの集会の進め方がぐんとうまくなったという経緯もあり、
では3学期にもう一度ワークショップをやろう、ということになりました。
最初の問い。
「話し合いで一番大切なことって、何?」
中3の人がすぐ手を挙げ、答えてくれました。
「相手の話を聞くこと」
そのとおり!
そしてその「きく」には、「聞く」と「聴く」の2通りがあって
話し合いの場では「聴く」がとても大事だということ。
さらに
「相手の立場になって考える」
「自分の意見を言う、伝える」
も出てきました。
さすがです!
まさに、それらは
「自分も人も大切にする」ということ。
こどもの森ではこの言葉をとても大事にしていて、
ことあるごとに、伝えあっていることなのです。
会議の進め方6段階
誰もがオッケーな案を選ぶ、「勝負なし法」
実は、こどもの森の集会で普段やっている話し合いの仕方には元ネタがあるのです。
それは、トマス・ゴードン博士の「勝負なし法」
多数決によらず、全員がオッケーになる案を選ぶ、とても民主的な方法です。
それを元に前回作ったものがこちら。
「司会」のコツって何だろう?
すでに集会を何度も経験しているみんなに、
司会のコツってどんなものなのかについて聞いてみました。
隣同士でペアになって、二人で意見を出し合った後、シェアしてもらいました。
それがこちら。
う~ん、さすが。
どれもその通りだなと思う意見ばかりです。
経験に勝るものはないですね。
みんなの意見を聞いていく中で、
「(司会をすると)緊張してとぶ」
という声も聞こえてきました。
こういう素直な気持ちをシェアできるって、とってもすてき。
ここに出ているものは、実際のところとてもレベルの高いことだと感じたので、
これから司会にチャレンジしていく人にはハードルが高すぎます。
そこで、初チャレンジの人向けに、まずこれをやってみよう、というものを2つ選んでみました。
それが赤丸のものです。
・意見を繰り返す
発言した人の言ったことを、もう一度まとめてくりかえすことで、
発言者の言いたいことを確認することができますし、
聴きそびれた人が話を理解するのに役立ったりします。
・声を大きく
話し合いに参加している人全員に声を届けさせるのは、基本中の基本ですね。
実際、全校集会など大勢の場ではマイクを使うので、そこまでがんばる必要はありませんが。
「ボード係」「記録係」のコツは何だろう?
話し合いを進めるために必要な役割に、
「ボード係」(ホワイトボードに書いていく)
「記録係」(集会ノートに記入する)
があります。
司会のコツと同じように、これら2役についてもみんなからコツを出し合ってもらいました。
いやあ、さすが。
ここでも子どもたちはするどい意見をたくさん出してくれました。
見比べてみて思うのは、
ホワイトボードに書く意味は、これまで出た意見を見ながら話し合いができるということ。
それにより、内容理解が深まり話し合いが促進されます。
一方、ノートに記録する意味は、後日見直して話し合いの内容を思い出すため。
そのために必要なコツが並びました。
模擬会議をやってみよう!
こうして会議の進め方6段階を知り、3役のコツを共有しあったところで
最後はみんなで模擬会議をやってみました。
テーマは「エアコンの使い方について」
スタッフが提案者となり、3役を立候補で決めて話し合いの練習をやってみました。
提案者の言ったことは、
「冬場の暖房で電気代がかかるので、節約したい。
それに再生可能エネルギーの電気を使っているにしても、やはり電気は大切に使いたい。
でも快適にすごしたい思いもある。
どうしたらいいか、みんなで考えてみてほしい」
というもの。
ここで大事なのは、提案者の考えや気持ちをじゅうぶん聴くこと。
その上で、ステップ2の「案出し」に進みます。
案①「日中は1~3階すべてエアコンはつけっぱなしにしておく。こまめに切る方が電力がかかるので」
案②「タイマーを使って7時間半で切れるようにする」
と、ここで時間切れとなりました。
この後はもう少し案を出し合って、
ステップ3「予想」へと進み、
ステップ4「案決め」で誰も反対しないものを選びます。
そしてステップ5「実行」
ここでうまくいけば終わりです。
やってみてうまくいかなければ、ステップ6「ふりかえり」をして
もう一度ステップ1「聴く」から話し合います。
一度決めたことでも、誰かが困ったりいやな気持ちになるような結果になれば
いつでも話し合いをして決めなおすことができる。
本来ルールというものは、コミュニティの人たちが快適にすごすためにあるもの。
ルールはいつでも決めなおすことができるのです。
自分も人も大切にする話し合いとは、そういうものだと思います。
(A.M)
追記
中3の人が「今日出た意見、まとめて見れるようにしてほしい」と言ってくれたので、
一覧表にまとめて中学部集会のノートにはさみました。
それがこちらです。