【ワールドオリエンテーション】生きものの楽園、ボルネオ島。「ウータン」石崎さんのお話。


マレーシアについてもっと知ろう!

中学部、マレーシアへの旅の準備として、
2学期に入ってからは専門家の方たちのお話を伺う時間を持っています。
先日はHati Malaysiaのお二人からマレーシアの文化についてのお話を伺いました。
ブログはこちら
【研修旅行】2024年度はマレーシアへ!事前学習がスタートしました。

 

そして今回は、ウータン・森と生活を考える会の石崎さんにゲストに来ていただき、
ボルネオ島の生き物の話や、アブラヤシのプランテーションの話などをしていただきました。

ウータン・森と生活を考える会では、ボルネオ島のエコツアーを実施するなど、
森を守る活動をされています。

 

自然はあなたであり、
あなたが自然である。

初めに、石崎さんから問いがありました。

「環境問題って何だろう?」

石崎さんが今年3月に広島で会った、プラムビレッジの僧侶の方がこのようにおっしゃったそうです。

「自然はあなたであり、あなたが自然である。
自然を破壊することは、あなた自身を破壊することだ」

このことを少し心に留め置きながら、
この後のお話を聞きました。

 

ジャングルは、生き物の宝庫。

なんと、
世界の地上の生き物の種類の半分以上が
熱帯林にいるのだそうです。
(80%がいる、という学者もいるそうです)

ボルネオ島は赤道直下にあり、
島の北1/4はマレーシア、残りはインドネシア。
中学生たちが訪れるコタキナバルも、100年前くらいまでは原生林だったそうです。

マレーシアの歴史が気になるところですね。

 

ボルネオ島の不思議な生き物クイズ!

ここから石崎さんによる、生き物クイズタイム。
画像を見ながら、ボルネオ島ならではの生き物を、クイズ形式でたくさん紹介してくださいました。

第1問。この生き物はなんでしょう?

これは「テングザル」
絶滅危惧種でボルネオ島にしかいません。
鼻が長い方がモテるらしい笑
木の新芽を食べるのですが、毒を消化できる胃を持っていて、
他の動物が食べない木の新芽を食べるのだそうです。

 

これは「サイチョウ」(絶滅危惧種) 大きな木の上に巣を作ります。 その木の実を食べ、フンを落とし、また木が生え、サイチョウがそこに来る。 鳥と木が共生しているのです。

 

これは「マレーグマ」 思わず「かわいい~!」と声が上がりました。 長い爪で地面や木に穴を掘ってアリを探します。 あけた穴にリスなどが巣を作ります。

 

これは空を飛ぶタネ「アルソミトラ」いろんなところに飛んで行って生き残るという戦略です。

 

この他にも、ラフレシア、ハナカマキリ、ナナフシ、カレハガなどの不思議な生き物を紹介してくださいました。

生き物同士がつながりあって生きている。
それがジャングルの特徴なのだそうです。

 

人も生き物も、もともと同じ。
同じ祖先から生まれたのです。

今、地球上にいる生物(微生物なども)すべて、同じ祖先から生まれた。
つまり、全員親戚なのです。

元々、地球上の水には毒があり、空気もなかったのですが、
微生物が光合成して酸素を出すようになりました。
そうして海が浄化され、生物が生まれました。
それが陸に上がり、陸にも酸素ができて、そうやって今につながっているのです。
酸素は生物が作ったのです。

そして今。
生き物たちがどんどん生きていけなくなっています。
このままでは水も空気もだめになってしまう。
水と空気。これは一番大事なものなのです。

 

オランウータンはふだん、どこにいる?
答えは意外なところ・・・

ここでまたクイズが出されました。
「ボルネオ島のオランウータンは、ふだんどこにいるでしょう?」

1,地面
2,木の上
3,人の家

答えは見せていただいたアニメ動画の中にありました。
ある日突然女の子の部屋にオランウータンがいるのです。
オランウータンは住む森がなくなって、迷い込んできたというお話でした。

なぜ森がなくなったかというと、
巨大企業が森の木を切って、そこにアブラヤシのプランテーションを作ったから。
アブラヤシから「パーム油」を作り、それはわたしたちの身近な食品や洗剤に加工されていきます。

 

目先のことしか見ていない大企業と、
仕事を求めてやってくる現地の人たち。
悪循環をどう断ち切ればいいのか。

実は、アブラヤシはだんだん土を瘦せさせてしまうそうです。
なので、後に他の植物を植えられないし、アブラヤシを植えても徐々に生産量が減ってしまうのだそう。

巨大プランテーションは、未来を見ず、目先の利益しか見ていない企業の仕事なのだと思いました。

パーム油を使った商品には、わたしたちが日常で見かけるものがたくさん。

また、アブラヤシの収穫はとても重労働だそうですが、
それでも現地の人たちは生計を立てるため、仕事を求めてやってくる。

プランテーションの仕事は、長い目で見れば自分たちの生活を脅かすものなのに、
それでもやっぱり今生きていくためには仕方がない。

そんな悪循環が起きているのだと感じました。

 

わたしたちに何ができるか?

最後に、石崎さんはこの問いを投げて、
このことをみんなで考えてほしい、と話されました。

石崎さんは、プランテーション以外の仕事があれば、
現地の雇用問題は解決するのでは、と話してくれました。

例えば、森を案内する仕事。
豊かなジャングルの魅力を伝える仕事は、すでにウータンでも取り組まれているようです。
他にも、果樹を植えて果物を売る仕事なども提案されました。

 

パーム油の生産量はインドネシアだけで世界の85%、
その面積はなんと、日本の面積の2/3もの広大さだとのことでした。

石崎さんは
「マレーシアに行ったときに飛行機から見えるから、ぜひ見てみてください。
それと、もし現地の人と話す機会があれば、どんな仕事をしているか聞いてみるといいですね」
と、これから行く中学生たちに語ってくださいました。

飛行機から見たアブラヤシのプランテーションを見て、みんながどんな感想を持つか、楽しみです。

石崎さん、どうもありがとうございました。

(A.M)