尊い小さな命と向き合った子どもたち①~学校でのにわとり飼育を通して~


6月、学校で飼っていた最後のにわとり「あんこ」が亡くなりました。

箕面こどもの森学園では、歴代4羽のにわとりを飼育してきました。

その歴史と、子どもたちとスタッフが小さな命に向き合ってきた過程を記録したいと思います。

 

命の尊さや学校で生き物を飼うことの難しさ、そこから学ぶことの大きさなど、にわとり飼育を通して起こった出来事と、子どもたちの様子、スタッフの葛藤などを残していきます。

 

にわとりを飼おうの会発足

2020年、秋。

中学生の人たちからの「学校で動物を飼いたい」という提案から始まりました。

中学生の人たちは、命の大切さを学ぶために動物を飼いたい。

飼いやすい生き物としてにわとりはどうか?ということでした。

 

ペットとして飼うのではなく、家畜として卵をいただき、最終的には食べるということを考えている、と話してくれました。

 

中学生のこの提案に、

うるさいんじゃないの?くさそう…世話は誰がするの?畑を荒らしそうなんだけど…

など、いくつかの不安や疑問が出ました。

提案した人たちはひとつひとつ丁寧に答えていましたが、すぐには飼うことは決定せず。

 

その後何度かの全校集会を経て、学校が休みの日は誰が世話をするのか、どこで飼うのかなどの懸念点について再び話し合い、全校生徒の合意を取ることができました。

そして、にわとりを飼おうの会(のちのにわとり実行委員)が発足。

 

食べることについては、反対意見もあったためやめておくことになりましたが、

あくまでも卵を「いただく」という視点で、命のありがたさを学びたいということでした。

 

そうと決まれば、さっそくにわとりをお迎えする準備に取り掛かります。

中学生を中心に、小屋を作りたい人を募って小屋づくりをスタート!

ていねいに小屋を作る中学生

 

階段下スペースに立派なにわとり小屋が完成!

 

ついに、来た!

2021年の5月。待ちに待ったにわとりが来る日!

岡崎おうはんという種類と名古屋コーチンという種類のにわとりを1羽ずつ譲り受けました。

名前は、にわとりを飼おうの会の人たちで考えて「ごま」と「しお」に決定!

キリっと立つ、しお

 

ふかふかの砂で砂浴びをする、ごま

 

生き物に興味のある人、にわとりが好きな人たちがみんなでエサをあげてお世話をしました。

校庭の土を掘って砂浴びをしたり、土の中の虫をついばんだり、2羽も学校に慣れてきた様子です。

 

 

ごまとしおがこどもの森に来て2週間ほどたったある日、ショッキングな出来事が…

2羽が何者かに襲われて亡くなっているところを、休日のお当番の人が発見しました。

小屋の網の継ぎ目が破れていて、おそらくイタチに襲われてしまったのではないか、ということでした。

 

みんなで話し合い、一生懸命お迎えの準備をして、学校ににわとりが居るということの良さを少しずつ感じてきていたときの出来事でした。

みんなで作ったお墓

みんなでお墓を作り、学校の庭に埋めてあげました。

実行委員の人たちで集まり、羽が散らばった小屋を掃除しました。

亡くなる前日のごまとしおの卵を持ち帰ったお当番の人は、

その知らせを聞いて大事に大事にその卵を食べたと聞きました。

 

短い間だったけど、こどもの森に来てくれてありがとう。

 

 

もう一度、にわとりを飼いたい

悲しい別れから1か月。

最初ににわとりを飼いたいと提案した中学生が、再びにわとりを飼うことを全校集会で提案しました。

しかし、悲しい別れがあったことや、お世話についての問題などから、なかなか全体の承認を得ることができませんでした。

承認を得られるように、そのときに出た質問に対して実行委員の人たちが自分たちなりに調べたり、専門家の方に、小屋の補強について教えていただいたりしました。

小屋は、金網を2重にし、にわとりの高さまでは板を張り、イタチやねこが嫌うネットをかけるなど、同じことが起こらないように対策をしました。

 

これは、そのときの集会の様子の一部をまとめたものです。

https://youtu.be/8dUa5F0Trhs

 

何度か集会で話を続け、「最後まで責任を持って飼ってくれるなら」

ということで承認してもらうことができました。

 

ごまとしおとの別れから、全校集会での再提案、実行委員の再募集などを経て、

半年後の11月、新しいにわとりたちが来ることが決まりました。

 

 

あんこ、きなこ、よろしくね!

2021年11月、新しくこどもの森に仲間入りした 「あんこ」と「きなこ」。

種類はごまとしおと同じ。

今回も名前は実行委員の人たちで決めました。

 

ごまとしおの時のような悲しいお別れはしたくない、そういう思いで小屋も頑丈にしてお迎えしました。

 

かわいくて仕方なくて、低学年の人は毎日抱っこ!

でも、抱っこするとストレスがかかるんじゃない?という声があり、

みんなでにわとりを抱っこすることについて調べました。

そして、抱っこするのは小屋に戻す時だけ、という風になりました。

 

学校の門を開けっ放しにすると、外に出てしまうため、

みんなにきちんと門を閉めてもらえるよう看板をつくったりもしました。

 

実行委員は増えたけど、小さい学年の人が多くてお当番を忘れてしまったり、話し合いがなかなか進まなかったりと難しいこともありました。

それでも、何かあった時にはみんなで話し合い、

あんこときなこはみんなにかわいがられ、もりもりご飯を食べ、暑い夏を乗り越え、元気に校庭を走り回って、すっかりこどもの森の一員でした。

からだが大きくて穏やかなきなこ。元気で気の強いあんこ。

 

 

突然の別れ

2羽がやってきて2年がたち、平和な日々が続いていたある冬。

きなこの元気が少しずつなくなり、病院に連れて行きました。

そのときにはすでに手遅れでした。

卵管に卵が詰まってしまい、それに伴い内蔵機能も低下してしまう病気になっていました。

もっと早くに病院に連れて行ってあげられたら、手術などもできたそうです。

 

子どもたちと一緒に学校で飼っているにわとり。

スタッフはどこまで手出しをしていいのか、すごく迷った出来事でした。

というのも、少し前からきなこの調子が悪そうなことにスタッフは気づいていましたが、

子どもたちの動き出しを待っていました。

でも、調子が悪そうだから病院に行こう、と言い出す人はいませんでした。

スタッフの判断できなこを病院に連れていくことにした、と、子どもたちに伝えました。

 

 

2023年12月、病院に行った次の日。

いつも過ごした小屋の中、きなこはあんこの隣で静かに亡くなっていました。

子どもたちと一緒に、ごまとしおの近くにお墓を作り、きなこを埋めてあげました。

とにかく涙が止まらない人、小さな生き物の死に直面し、硬い表情の人、

もしかしたら、こういった別れが初めての人も居たかもしれません。

 

子どもたちはきなことの突然の別れをどのように受け止めたのでしょうか。

「もっと早く病院に連れて行ってあげればよかった。」

「ちゃんと様子見ておけばよかった。」

そう言っている人も居ました。

何も言葉にせずとも、それぞれの心がきっと動いたのだろうと思います。

スタッフである私は、自分の行動がそれでよかったのか、もっと早く病院に連れて行ってあげればよかったのではないか、と後悔に押しつぶされそうになりました。

 

この出来事は、実行委員の人たちにとってもスタッフにとってもとても大きな出来事でした。

 

きなこにごめんねの気持ちと、たくさんのありがとうを込めて。

これからは、あんこをしっかりお世話していこう、と身を引き締めました。

 

長くなるので、ひとりになったあんこと私たちのことは、この次のブログで。

 

(K.Y)