【高学年ことば共同】てつがくの時間~「ふつう」ってなに?~


こどもてつがくは本当におもしろい。

今日も子どもたちとひとつのテーマについて、てつがく対話をやってみました。
ちなみに、てつがくのテーマも、子どもたちと相談して決めています。

今日のてつがく。
テーマは「ふつうってなに?」

今日初めててつがくを体験する子どももいたので、
始めにてつがくって何なのか説明しました。

考えたり感じたりしたことを、言葉にして出してみる。
誰かの言葉を聞いて、また考えたり感じたことを言ってみる。
「それってほんとかな?」という問いを時々思いながら話していくと、
だんだん物事の本質へと向かっていけます。

 

てつがくのろうそくに火が灯りました。
ここからスタートします。

 

「ふつう」という言葉、どんな時に使っている?

この最初の問いに、子どもたちは次々と話しだしました。

「好き?きらい?どっち?と聞かれたとき、どっちでもないときに言う」
「お金持ちか貧乏かって聞かれたときにも、ふつうって言う」

なるほど、「ふつう」は好きと嫌い、金持ちと貧乏の中間を示す言葉として使っていますね。

「『微妙』っていうのもある」
と一人が言いました。

そこで、「ふつう」と似た言葉をみんなで出し合ってみたところ、
「中間」「微妙」「あたりまえ」「そこそこ」「まあまあ」
といった単語が出てきました。

 

「ふつう」は変化する

「「それってふつうじゃない?』って言う時、あるよ」
と別の人が言いました。

「『テストの点は?』って聞いて、『ふつう』って答えたりもするんちゃう」
「それって何点のこと?」
「うーん、50点」
「75点の人もいるんちゃう?」
「いつも100点の人からしたら、100点がふつうちゃう?」

一人が言いました。
「人によってふつうって違う」

それを聞いて別の人がつぶやきました。
「自分の中でも『ふつう』って変わる気がする。誰かから言われて、『そっか』ってなったら、『ふつう』が変わる」

なるほど、自分の中の「ふつう」も変化するんですね。
これはすごい発見です。

 

コミュニティの中にも「ふつう」がある

スタッフから
「こどもの森は多数決しないよね。でもほかの学校ではたぶん、どこも多数決で決めている。こどもの森は多数決がふつうだけど、よそは違ったりするよね」
と言ってみました。

一人が
「たしかに、ほかの学校から見たら、こどもの森は変わってる学校かも。自分たちはふつうって思ってるけど」
「そう言えば前、松岡修造さんが来た時、1年生の子が粘土に集中してて松岡修造さんを無視していたことあったねー」
「変わってる学校って思われたよね」
みんなで爆笑しながら、昨年の取材のことを思い出したりしていました。

「ふつう」は自分の中だけでなく、コミュニティの中にもあって、
場所によって「ふつう」は違うということにも気づくことができました。

 

「ふつう」は自分でつくっている

他にも「ふつう」についてあれこれ意見が出てきましたが、
ここでは割愛することとして、
最後に、今感じていることを話してもらいました。

「『基準』がないと、『ふつう』ってわからない」
「自分の『ふつう』は自分でつくってる」
「自分の成長によって『ふつう』も変わる」

といった声が聞かれました。
たった30分のてつがく対話の中で、子どもたちが感じとったものが深くて
とても驚きました。

 

最後に今思っていることを短い文章にしてもらいました。

「人によってふつうは違う。ふつうは自分の中のルール?自分は今、ふつうはおもしろいと思った」(小5女子)
「やっぱりみんなふつうは違うし、いろいろな話も出てきて、似た言葉とかでも思ったことが違うくて、へーって思った」(小6女子)
「ふつうは、4つか5つぐらいの使い方があるんだなと思った。ふつうは人によって違うんだなと思った。でも、建前のふつうもあるから、やっぱり本音と建て前って大事なんだな~って思った」(小6男子)
「かんたんな言葉。ふつうがなかったら、多分いろいろと表しにくい。ふつうってよく考えたらむずいよぉ?ふつうってなに?」(小5女子)

1学期のてつがくテーマは今回のほかに、
「自由って何?」「人はなぜ生きるのか?」です。

子どもたちが選んだテーマ、どれも生きる本質に触れるものばかり。
いい時間になりそうです。

(A.M)