最初の校外学習では、兵庫県立一庫公園に行きました。学校から貸し切りバスで約1時間半ほどで到着。公園内には一庫ダムによって生まれた知明湖と豊かな緑、水辺、丘、山のゾーンがあります。雑木林の中に遊歩道があり、ハイキングや自然学習などゆったりと過ごせる場所です。
到着して最初に、一庫公園の所長をされている牛尾さんからお話しをうかがいました。
牛尾さんは、一学期から選択プログラムで自然観察の講師として来ていただいている方です。
講座室で「里山ってなんだろう」というテーマでお話しをしてくださいました。
里山では山からまきをとってきたものを料理やお風呂に使い、山で焼いた炭で部屋をあたため、日常生活に使う道具も木や竹など自然の物をつかっていた事を知りました。
里山の自然と生き物のつながりでは、食物連鎖、イノシシやシカによる害、外来種の動物による生態系の変化など動物たちの特性をまじえ、わかりやすく説明してくださいました。
オオカミ、キジのはく製、イノシシの毛皮や頭の骨、キツツキが穴を開けた枝、ヘビの抜け殻、生きたザリガニやカメ、カエルなどさまざまな動物を目の前に、牛尾さんからいくつかの質問があり、それについて考えながらお話しを聞きました。
講師:「うっそうと木が生い茂った暗い山と、日の光が入る明るい山とどちらが豊かな自然だと思いますか?」(この質問には、後者に手を挙げた人の方が多かったです。)
実際の3種類のヘビの抜け殻を3人の人がそれぞれ持ってみました。
「うわぁ、これながっ!」
講師:「どれがマムシのぬけがらでしょう?」(手を上げた後)
「正解は3番目(一番短い)です!」
講師:「外来種のカメと在来種のカメとどちらが速く歩くと思いますか」(「外来種かな~?」というこどもたち声)
講師:「では、実際に歩かせてみましょう」
2匹のカメをたらいから引き揚げて、一直線に並べます。
「ヨーイ、ドン!」のかけ声と共に、外来種のカメがすごい勢いで前へ進みました。
みんな見ていてビックリ!
こんな勢いで移動して池のエサを食べてしまうと、在来種のカメは生き残るのが難しそうですね。
館内には一庫公園周辺の動物の展示やそれに関するクイズ、外国の動物に関する写真やパネル展示、一庫炭の紹介や自然の素材を使ったクラフトなどがあり、それぞれ見て回りました。
昼ごはんを食べた後はみんなで自然観察路を歩きました。エドヒガンの群生地、ナラ枯れの被害や炭焼き窯のあと地を見学しました。石組の通路に水が流れる配管があり、その中にヤモリの卵を偶然見つけた人もいました。
「やもりって、こんなところに卵を産むんや。」
その後は、池に生き物を採りに行く人たち、山登りに行く人たち、ネイチャーセンターに戻る人たちとに分かれました。
池では、それぞれ網を持って池の中を探ります。
トノサマガエルやヌマエビ、ヤゴやタニシなど
「あっ!いた!」「わぁ!取れた!」「さっきのよりおおきい!」
などあちこちではしゃぐ声がし、つかまえた生き物観察して容器にいれました。
牛尾さんがそれぞれの生き物について説明をしてくださったあと、池に離してあげました。
山に行った人たちは、ハアハア息を弾ませながら歩き続け、見晴らしの良い頂上で、美しい景色をながめ大満足だったようです。
池から戻る人たちは、途中の原っぱでトンボを追いかけているひとたちがいました。すると突然、前を歩く人から「あっ、シカや!!」の声がしました。「どこどこっ?!」っと思わず走って追いかけると、広い芝生の奥にこどものシカが歩く姿が見えました。
思わず「かわいい!」という声が出ましたが、牛尾さんは「かわいいけど、木の皮を食べてしまう被害があるんだよねー」と声を落とし、少し困った顔をされていました。
今回の校外学習で、里山のくらしの移り変わり、自然環境の変化、食物連鎖や外来種など、生き物と人のくらしを考えることにつながる学習になったことと思います。
牛尾さん、たくさん生き物について教えてくださり、ありがとうございました!
m.y