子どもが決める?おとなが決める?~高学年テーマ「こども基本法」~


1学期の高学年テーマは「ひとはみな自由~こども基本法~」です。
この4月にこども基本法が施行され、日本でもようやくこどもの権利が法律で語られるようになりました。

子どもにもちゃんと権利があるよ、と法律で決まったのだから、
そのことをまず子どもたちに伝えなければ、ということで高学年のテーマとなりました。

 

4/20にオリエンテーションをして、その時にみんなに

「子どもが決めていること、おとなが決めていること」
「大切にされていると感じること、感じないこと」

この二つについて、グループで話し合ってもらいました。

 

その後、ユニセフの方のお話を聞く機会もあり、こどもの権利についての知識が少しずつ増えていきました。

今日は1回目の時に話し合ったことについて、今、どう思っているか、
みんなから集めた事例は、こどもの権利を守っているのかどうか、ということについて話し合ってもらいました。

 

あるグループで出た子どもたちの声を、ここで紹介しますね。

 

話は「子どもの服を大人が決める」ことについて。

スタッフが「これって大切にされているって感じる?感じない?どちらでもない?どう思う?」と問いかけてみました。
すると、いろんな意見が出てきました。

 

「似合う服を買ってくれるし、気に入ってるから嫌じゃない。大切にされてるって思う」
「でも、自分で決めるときもある。それを親はゆるしてくれる」

 

「おばあちゃんが買ってきてくれたけど、好みの服じゃなかった・・・フリルのスカートだった。
気持ちは嬉しいけど、妹にあげた」

 

「えらぶのめんどくさい。好きな服がいっぱいになると迷うからめんどくさい」

 

「親が『こっちのほうが上品』とすすめてくる。でもわたしはズボンの方がいい。
どうせ着ないしお金の無駄だと思うと言うと、親はあきらめる」

 

このように、一概に親が決めることを子どもの権利の侵害と思わないという意見や
自分が着たい服を伝えることで、納得してもらえた経験があるようでした。

しかし一方で、
お家のルールは親が決めていて、それがいやなんだけど、
そのことを言うと「ルールを守らないと好きな習い事をやめさせるよ」と言われる
という話が出ました。

 

その子は、
「親はわたしのためを思ってくれてるけど、結局は自分で決められていない。
大切にされているけど、大切にされていない

と話してくれました。

 

子どもって、親が思う以上に親のことを思っているんじゃないか。
なんだかとても健気で、胸が痛くなりました。

 

スタッフが、
「おとなは良かれと思って、子どもに自分のオススメをぐいぐい押していくんだね」と言ってみると、
他の子どもから
「逆に子どもから親にぐいぐい行くこともあるよ。おねだりとか!」
と。

 

なるほど、おとなも子どもも、相手にぐいぐい行くときってある。

ぐいぐい行って、相手の権利の中に入ってしまうと、権利の侵害で、
そうなるとやられた方はがまんするしかなくなる。

「じゃあ、こういう時、どうしたらいいんだろう」と問いかけると

一人の子が、「対話!」
と言いました。

話し合って決めるとき、自分も相手も大切にしている感じがする。

 

こどもの森では、日常生活の至る場面で「自分を大切に」「人を大切に」が語られていて
それを軸に話し合って物事を決めていく文化がありますが、
やっぱり子どもたちは、そのことをよくわかっているんだなあ・・・

 

今日、話を聞いてみて、子どもたちは日常生活の中でがまんしていたり、
親の想いを受け取ってくれていたりと、
おとなのことをこんなにも大切に思ってくれているんだなあと、改めて感じさせてもらいました。

 

子どもたちが大人へのやさしさからつい我慢してしまうようなことがあるならば、
そこに気づいて「あなたはあなたを大切にしていいんだよ」と伝えていきたい。

 

おとなも子どもも対等。

お互いに言いたいことを伝えあって、聴き合って、
お互いが気持ちよくすごせるように、
お互いを大切に思い合いたいものだなあと思いました。(A.M)