小学部集会「当日になって役割をやめたい人がいる」という困りごとを、子どもたちはどう解決したか。


昨日の小学部集会で、「当日になって役割をやめたい人がいる」という議案が出されました。
役割というのは、小学部集会の司会・ボード係・記録係のことです。

 

この議案が出た瞬間、スタッフとしては「あ、これはちょっと難しそうな案件だ…」と、
話し合いがどう展開していくのか、若干の緊張感を持って座っていました。

議案を出した人は5年生。
何があったかというと、今日の小学部集会の記録係をやることになっていた小3の人が、直前になって「やめたい」と言ってきたそうです。
この5年生はその人のサポート役をすることになっていたため、その子の話を聞くために昼ごはんの時間が少なくなってしまって困ったということでした。
(サポート役というのは、役割にチャレンジしたいが自信がない人のために、横についてサポートしてあげる役のことです)

実は急にやめたいと言ってきたことがこれで2回目だということで、5年生としては腹に据えかねるという気持ちだったようです。

司会の6年生が
「これについて、何か意見のある人はいますか?」

そこに高学年スタッフが手を上げました。
「役割をやってみたいという気持ちも大事だと思う。できなくなるなら最初からやめといてというのは、もったいないなと思うんだけど」

この件の当事者の3年生の人はというと、イスの上で体を丸めてうずくまるように固まっていました。

「他に意見はありますか?」

すると、何人かの子どもからいくつかの提案が出てきました。

出た案は、
・役割をやっぱりやめる、という人が出た時、代わりにやる担当を決める(急にやめるのを受け止める案。なんと受容的なのでしょう)
・そもそもやっぱりやめるのをやめてほしい(嫌な思いをしたのだから、そう思うのも無理はないですね)
・役割実行委員をつくる(困りごとはそれを解決するための役割を作るというのは、こどもの森でよく出る案)
・サポートの人が引き続きやる(合理的な案です)
・ハッピータイムのうちに相談する(実際の場面をよく想定して思いついた案だと感心しました)

この中で、いやだという意見が多く上がったのが、「サポートの人が引き続きやる」案でした。
これは、サポートならいいけどその役をしたいわけではない、ということのようでした。

これ以外の案については、反対意見はなく、じゃあ一番いいと思う人数が多い案に決めようということになりました。

そうして決まったのが、
「代わりにやる担当を決める」でした。

追加の意見で、
「立候補した人が代わりの役をつけてほしいと言った場合に、代わりの役を決める」
「サポート役の人でも、代わりの役になってもいい場合はなれる」
というのが付け加わりました。

最後に、初めに発言していた高学年スタッフが手を上げて、
「代わりにやる担当が決まったけれど、だからと言って簡単にやっぱりやめるというふうにならないでほしいと思う。」
という一言を添えてくれました。

自分の意見ばかり押し通すのではなく、相手の立場にも立ち、でも自分のこともしっかり大切にして
お互いがオッケーになるところを探していく、そんな話し合いになってほしいといつも願っています。

 

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翌日、この件を出した5年生に、「昨日、あんな形に決まったけど、もやもやしたりしてない?」と聞いてみました。
すると彼女は、
「代わりにやる担当を決めることになったから、もう同じことは起きないからそれでいい」
とさらりと返事してくれました。

ああ、彼女は相手の人格をどうこういうのではなく、できごとを見ていたのだと
自分の困りごとが解決したらそれでオッケーなんだという態度だったとわかりました。

とてもとてもうれしいできごとでした。(A.M)