高学年のテーマ学習で、ジャーナリストの西谷文和さんにお話を聴きました。
西谷さんはアフガニスタンやイランなど、戦争が起こっている中東の国を主に取材されています。
お話の中で、西谷さんが実際に現地に行かれたときの映像をたくさん見せていただきました。
アフガニスタンは40年もの間戦争を続けている国です。
アメリカとの戦いでは、関係のない市民がアメリカ軍による誤爆で大けがをしたり命を落としたりしているそうです。
そして国内には、500万個以上の地雷が埋まっています。
「地雷、1つの値段っていくらだと思う?300円、3000円、30000円」
西谷さんからのクイズです。
子どもたちは、それぞれの予想を持ちます。
答えは、なんと300円。
こんなにも恐ろしいものがたったの300円で売られ、多くの人を傷つけているということに子どもたちはとても驚いていました。
また、地雷が人を殺さない(片足を損傷する)程度の力に設定されていることにも驚きました。
仲間が負傷したら、それを助けるための人出が必要になります。
そのため、人数が少なくなり、戦いに有利になるからだそうです。
そんなアフガニスタンでは、子どもの半数が学校に行けていません。
生きるために、まきひろいや水汲みにいって学ぶ時間はありません。
今、私たちが毎日学校に通えていることは当たり前のようで当たり前ではない、ということを子どもたちも感じたようです。
他にもたくさんの映像を見せていただきました。
戦争によって、同じぐらいの年齢の子どもたちが傷ついている映像にはとてもショックを受けていました。
なんの罪もない人々が苦しんでいる映像もたくさんありました。
西谷さんから戦争がなぜ始まるのかという問いかけがありました。
子どもたちは、事前に調べていた土地の問題や宗教の問題などを挙げています。
もちろんそれらも戦争の原因となりますが、西谷さんの口からは、子どもたちが全く予想もしなかった言葉が出てきました。
それは、「お金儲け」「広告」「嘘」などからも戦争が始まるということです。
戦争に使う武器や戦車は、ミサイルは5000万円、戦車10億円ととても高価で、それらを作って売る国がとても儲かるそうです。
そのため、その国は国民を鼓舞するような広告や、嘘を流して戦争をさらに盛り上げようとします。
なんて恐ろしい世界だろうと思いますが、これが実際に起こっていることだと思うと、平和への道はすごく険しいような気がしました。
そんな勝手な理由でたくさんの人々が傷ついたり、命を落としたりしていることがとても悲しいです。
しかし、平和への道を少しずつ切り開く人たちもいます。
中村哲さんは、アフガニスタンの砂漠に水路をつくり、木を植えて、果実を実らせました。
何もなかった場所に青々とした植物と、人々の笑顔がありました。
そこに現地の人々の仕事を作り、自然を作り出した中村哲さんの行動は本当にすごいと思いました。
ドイツ国際平和村では、戦争で傷ついた子どもたちを治療する医師や看護師がたくさんいます。
日本人もたくさん働いているそうです。
自国を出る時には体にも心にも傷を負い、暗い表情の子どもたちが、治療を終えて帰国する時にはとても明るい表情になっているのが印象的でした。
この子たちが帰った母国が、少しずつでも平和な場所になるために、自分にできることはなんだろうと考えさせられました。
子どもたちの振り返りでは、新しく知ったことやこれから自分にできることがたくさん出てきました。
一部を紹介します。
・まずは戦争を経験した人と話し、戦争について知ること。
・今は見ることしかできないけど、大人になったら物で支援したい。
・武器などに大金を使うぐらいなら、苦しんでいる人たちに使ってほしい。
・学校に行けず文字が読めないと、だまされてしまうんだなと思った。
・水が出ること、学校に行ける日本はすごくしあわせなんだなあ。
・英語を勉強して、アフガニスタンに行ってひとりでも命を救ってあげたい。
・まずはその国のことを知ったりしてからできることをさがす。国によって違うと思う。
・助けたいと思うけどやっぱり行くのはこわい。
・困っている人が住める場所をつくる。
・平和にするには世界がつながることが大事だと思った。戦争をしたら世界との縁が切れてしまう。
・どれだけ戦争で儲かっても、死んだ人の命はかえってこない。
・アフガニスタンなどで起こっていることを周りの人に伝える。
・自分が学校に行ったり食べたりできることに感謝する。
すべては紹介できませんが、実際に現地の様子を取材された西谷さんのお話は、子どもたちの心にとても印象強く残ったようです。
自分から始まる平和な地球、これからも学習は続きます。
ひとりひとりがどんなことを感じ、表現していくのかが楽しみです。
(Y.K)