みんなでつくった修学旅行’20〜番外編『みんなで決めたから、大事にしたい。』


先日、ある高学年の保護者の方から聞いたお話です。

先日の修学旅行に行く前日、その子は修学旅行のおやつを買いに行きました。
みんなの話し合いでおやつは800円まで、と決まっていたのです。
ところが、消費税分を考慮し忘れていたらしく、その子は860円分のおやつを買ってしまったそうです。

お母さんは「60円ぐらいいいんじゃない?」とおおらか。

ところがその子は
「いや、オレは別にどうでもいいねんけど、800円を大事に思っている人がいるから、オレはそれを大事にしたい」

そう言って、60円分のおやつは妹にあげて、800円分のおやつをリュックに入れたそうです。

その保護者の方は、こう言っていました。
「この子はもともと、自分に興味のないことには全く関心を持たない子だったんです。
それがこどもの森に通っている中で、こんなふうに育ってくれて、本当に嬉しいです。」

この話を聞いて、わたしもとっても嬉しくなりました。
こどもの森ではいつも、みんなのことはみんなで話し合って全員一致で決めることを重視していて、
学校生活のあらゆる場面で、小さなことから大きなことまで時間をかけて話し合って決めています。
みんなが納得することがあたりまえなのです。

話し合いの過程では、どんな意見も「なるほどね」「あなたはそう思うんやね」と一旦受け止められます。
なぜそう思うのか、考えや気持ちを聴いてもらえる環境があります。
だから子どもたちの心の中に、聴いてもらえる、受け止めてもらえるという安心感が生まれ、
自己肯定感が育まれているのです。

日常的に、いつものように過ごす中で、子どもの自己肯定感が育まれています。

今回、修学旅行のおやつをいくらにするかでは、時間をかけて話し合いをしていました。
この時たしかに、この話の男の子は「別にいくらでもいい」というスタンスでした。
ところが別の子どもから
「1000円がいい。だっておやつも大事な行事の一つだと思うから」
という熱烈な意見が出ていて、話し合いが白熱したのでした。

最終的には「おやつは800円まで」ということでみんなが納得したのですが、
きっとこの1000円を主張していた子の気持ちを、このお話の男の子は大事にしたかったのでしょう。
そして、時間をかけて一生懸命話し合った結果を大事にしたかったのだと思います。

 

自分は興味ないけど、それが大事だと思う人がいるなら、それをオレも大事にしたい。

そんなふうに子どもの心は育っていくのだなあと感じたできごとでした。

 

この時の詳しい様子はこちらのブログに書いていますので、よかったら。
(A.M)

修学旅行のおやつはいくらまで?高学年の話し合い