修学旅行のおやつはいくらまで?高学年の話し合い


先日、スクールワークの時間にて修学旅行の話合いが行われました。

ひとつめのテーマは「修学旅行におやつを何円分持っていくか」

意見が飛び交う議論は白熱し、通常のスクールワークの時間を延長して行われました。
その時の様子をお伝えします。

 

まずは「今年も去年と同じく上限1000円でいいのではないか」という意見から始まりました。
それに対して、
「昨年に比べて日数の少ない、1泊2日の旅行に1000円分は多すぎるのではないか」
「昨年は2泊3日で1000円なので、1日約300円と計算して、2日間で600円はどうか」
などの意見が交わされていました。

すると、ここで、6年生の男の子から問いかけがありました。

「そもそもなんでお菓子を買う金額に制限をつける必要があるん?自分の食べる量は自分で決めればいいやん」

その視点が出てきたことに驚きを隠せませんでした。
制限ありきで考えるのではなく、どうして制限が必要となるのかという根本的な問いで、それに対して、それぞれが意見を伝えていきます。

「お母さんにお菓子のお金をもらうときに金額を決めていた方がもらいやすいし…」
「親にお金をもらう前提になるなら、親が納得する金額に設定しなあかんのちゃう」
「ある程度の目安がないと、お菓子をたくさん持ってくる人と、少ない人が出そう。そうしたら不公平じゃない?」
「それを不公平としたら、きりがなくなる気がするんやけど」
「やっぱり、どのくらいのお菓子を持って来るかの幅は必要やと思う。何円以上何円以下みたいな」
「幅を決めるとしても上限だけでいい。去年と同じように1000円までにしようよ」

 

さまざまな意見が交わされるなか、お菓子の買う金額の上限は決めることにして、問題はその金額ということになりました。

ここで、スタッフからは上限1000円を主張する男の子たちに、その根拠は何かという問いかけがありました。
「それがダメというわけではなくて、1000円がいいという人はなぜ1000円という金額だと考えているのか教えてほしい」

「…去年も足りなかった人もいるくらいだし」

「それは根拠と言えるかな」

根拠と言われると、うまく意見が出てこなくなってしまいました。
さらに、お菓子をたくさん持ってきた場合、これまでにもお菓子ばかり食べてご飯を食べない人がいたことや、だらだらといつまでも食べ続ける人がいたことの問題点も伝えられました。

そして、別のスタッフからは親目線での意見が出ました。

「親からすると2日分のお菓子が1000円は高いと思う。みんながいつも食べている量を考えてみて。そんなにお菓子食べている?」

考え込む子どもたち。
実際にいくつお菓子を買うか考えるとそんな高くないかもなぁと声も上がるなか、5年生の男の子が勢いよく手を挙げて発言しました。

「修学旅行は特別な行事やん、お菓子を食べることもその行事の一部やねん。だから、修学旅行のお菓子は特別なもので、いつもより多いかもしれんけど、上限としては1000円までにしたい」

彼からは一生懸命に思いを伝えようとする姿勢が感じ取れました。

「そうか、修学旅行のお菓子を特別だと感じていることはすごく伝わった…でもやっぱり1000円は高いと思うねん」

そして、これまでこの会を上手に取り仕切ってくれていた名司会者である女の子から、
「ここで案を出してください」との呼びかけがありました。

お菓子を買う金額の上限として出された案は600円、700円、800円の3つ。
1000円を主張していた男の子は「1000円もいらんから、800円くらいやと思う」と提案しました。

司会者の「ひとつひとつの案に対して、どういう結果になるか予想を立ててみよう」という言葉で、
お互いの意見に対して思いを寄せていきます。
「600円だと、800円を主張している人たちに不満が残るかもしれない…」などの予想が出るなか、
みんなの意見としては「お菓子は上限800円まで」ということで一致しました。

そして、これには大切な条件がつきました。
「お菓子を食べるときのルールを守ること」
「お菓子をいくら買うかは家庭で相談して決めること」

 

長い時間をかけたスクールミーティングの後、「長くて疲れた、けど決まってよかった」という声がありました。その中でもずっと上限1000円を主張してきた男の子は、
「自分の意見を伝えられて、最後には結果にも納得ができて、スッキリした!」
ととてもいい顔で話していました。

大人にしてみれば、いくらお菓子を買うのかはたいした問題ではないかもしれません。
しかし、子どもたちにとっては重要な問題でした。
そしてその重要な問題について、それぞれが自分の言葉で意見を伝え、お互いが納得できる結果を得られたことは、とても大きな成果であると感じました。

話合いを面倒くさいと放り投げることなく、多数決で他の意見を切り捨てることもなく、徹底して意見を交わす子どもたちの姿に、感心するとともに大切なことを教えられた一日でした。

(インターン N.S)