「みんな、会議ってどんなふうにやってる?」
話し合う場面がとっても多い、こどもの森。
低学年の人たちも、集会やスクールワーク(行事の決めごと)、友だちとの間で、などの場面で話し合いに多々参加しています。
今日は、話し合うことについて、順序立ててひとつひとつ丁寧に確認していこう、ということで、ワークショップ形式で学びました。
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「いつも1~6まで、だいたいこんな感じで低学年集会とかやってるで。」と、こどもたち。
「じゃあ、ひとつひとつ確認していくね。」と、スタッフ。
そして順を追って確認していくと・・・
(こども)「なあなあ、誰もが反対しない案を選ぶんやろ?(『4.案えらび』のところ)
でもさ、なかなか決まらへんときもあるやん。そういう時はどうしたらいいん?」
なるほど~な、こどもからの質問。
ぐっと話に集中してくれていたからこそ、そして、いつもの話し合いの様子と今日のワークショップを頭の中で結び付けて聞いているからこその質問やなあ、と思っていました。
(スタッフ)「なかなかいい案が出てこなくて、みんながOKってならないときってあるよね。いい案に決まらないときがあって困る。そういうときってあるよね。どうしてそうなると思う?」
・・・
(こども)「予想してないから?その案を選んだらどうなるかが分からへんから。」
うんうん、なるほど。
実はその秘密は、最初の『1.聞き合う』にありました。この段階で充分に聞けてないと、話し合いがうまくいかないことが多いのです。
例えば、何か困ったことが起きてそれを話し合うとき、
「何があったの?」「どんな気持ちだったの?」「どうして困ってるの?」「こうこうこういう理由で私はそれが嫌やと思ってる」など、その困りごとについて、みんながちゃんと理解して分かっていないといけない。
その上で、「それでもさ、こうじゃないん?」などの意見も出し、お互いに言いたいことを言い、
そうして初めて、いろんな案が出てきやすいし、結論が出やすいのです。
さて、その意見を出すタイミングがミソ。
『2.案出し』の時に、
「え~!」とか
「そんなん嫌やわ!」とか、
「それあかんやろ」とか、
「それはちがうんちゃう?」とか、
そういうのを口に出したら、案を出した人はどんな気持ちになる?と、スタッフからこどもたちへ問いかけがありました。
・・・
(スタッフ)「例えば、案を出した人以外の人にとっても、自分がもし発言したとしても「え~」とか言われたら嫌やし意見言いにくくならへんかな?」
・・・
(こども)「なる。」「なる!」「・・・(うなづく)」
これはよくあることで、実際の場面でもそうなりそうな時は、スタッフが声をかけたり、気が付いた人が「そういうの今言うのはやめよう」と言ってくれたりしていました。
今日このワークショップでも、案出しのときにそういう否定の言葉が出るとみんなが安心できないよね、ということが確認されました。
そして、「え~」と心の中で思っても、この案出しの段階では口には出さないで、「ふーん、なるほど」って心の中で言ってもらいたい。そうすると、案を出した人も、その場にいる人も、安心してもっといろんな案が出てきやすい、ということも確認。
「なるほど、それもありやな、と一旦受け止めて、案が広がっていく方がいいよね。」というスタッフの言葉に、こどもたちも納得したようでした。
そして次の段階。
もう案はこれぐらいで出きったかな、というところで、一つひとつの案に対して、Aの案をやってみたらどんな結果になるやろう?どう思う?というように、順に予想してみる。
さっきの、「え~」とか、「それはちょっと…」と思ったことは、「この案はうまくいかへんかもしれへん。理由は・・・」というような意見として、この段階で出すといいよ、とスタッフからこどもたちへ伝えます。
そうして、誰も反対しない案を選べたら、やってみる。
そして最後の、『6.振り返る』の段階へ。
話し合ったときは、みんなうまくいくんちゃう?と思って決めたけど、実際やってみたらうまくいかへんなあ…となることもある。
そうなればまた、『1.聞き合う』から始めたらいい。
一度決めたことは絶対ずっと守らなければならない!ということではなくて、なんだか違うな、と思ったら、また考え直すことはいつでもできるよね、ということも確認されました。
ルールはいつでも自分たちで作り変えられる、ということは、集会をたくさん経験しているこどもたちにとっては、実感を伴って腑に落ちていた様子でした。
ここまでをみんなで確認した後、いよいよ実践タイム。模擬低学年集会をしました。
こどもたちから出た議案は、「シリーズの本を1巻から順に並べてほしい」ということについて。
司会、記録、ボード係を決め、いざスタート。
議案を出した人にまずは、何で困っているかを話してもらいます。『1.聞き合う』の段階。
(こども)「これがこうなってて、ぼくはこれが嫌で、こうしてほしいと思ってて・・・」
(司会の人)「じゃあ、何か意見はありますか?」
意見をあれやこれやと出し始めるこどもたち。
じっとその場を見守っていたスタッフからここでひとつ。
(スタッフ)「このときにね、より丁寧に進めようと思うと、司会の人が議案を出した人の困りごとを簡単にまとめて、言い直してあげるといいよ。一つひとつ、ちゃんとみんなに伝わったか、復唱して確認してみて。そうすると、もし聞きそびれた人がいたとしても、「あ、そうか、そういう話か。」と、みんなが分かるよね。」
そのアドバイスを聞き、司会の人は即実践してくれました。
そしてその後の案出しについても、意見を出した人のあとに続いて司会が「〇〇くんが今言ったことは、~」と、一つひとつまとめて言い直してくれていました。
司会の人が復唱してくれると、なんとも話が分かりやすい。
さて、今日の模擬集会は、『1.聞き合う』の段階で時間切れになってしまいましたが、次の低学年集会でまた続きをしようかとなりました。
***ちなみに、
この週の振り返りでは、
・『3.予想』ってやってないな~と思った。(3年生)
・いつもやってることやな~と思った。(2年生)
・司会って大変やと思った。(3年生)
など、こどもの口から出てきました。
こどもたちなりに、いろいろと感じたことがあるようでした。
***『勝負なし法』について。
この、1.~6.の進め方。実は「勝負なし法」という話し合いのやり方なのです。
勝負なし法の反対は、勝負あり法。どちらかが意見を強引に押し付けたり、どちらかががまんしたりして、解決した「風」になってしまう。
勝負なし法は、誰も嫌な思いをしないやり方。親子の間でも、大人同士でも、使えます。
特に親子関係では、こどもの中の「自分の話をしっかり聞いてもらえた感」が増し、お互いの信頼関係が深まるやり方だなと思います。
ぜひどうぞ、お試しあれ。
(M.F)