かずの不思議-形と計算から


今回の数の不思議は、いつもよりも盛り沢山な7つのテーマを、4年生7名、5年生4名、6年生2名の13名で楽しみました。

 

1.形の不思議 

①あるのに見えない!  ②3Dの高層ビル   ③太陽とヒマワリ(増減する面積)

2.信じ難い現象 

④マジックリング    ⑤スルーするカードリング

3.計算の不思議

⑥誕生日を当てる     ⑦結果は誰でも3!

 

①あるのに見えない!

「ガラスの筒の中に何があるかな?」

「円」、「ちがう、ゆがんだ円」

「そう、“ゆがんだ円”、これをだ円といいます。筒の中に見えているね」

ところが筒の上からのぞくと、なぜか、だ円は消えしまって見えません。

 

「ええ!」「ウソ!」「信じられへん!」の声がそこかしこから。

「これは、光の性質と偏光板の性質を利用した物理的な現象です」「偏光板を入手すれば、だれでもできます」「偏光板は東急ハンズへ行けば手に入るよ」

 

 

②3Dのビル街

「この箱の角にある三角形の窓から、片目で中を覗いてごらん」

 

10センチ四方の箱の中に、窓が深く深く下へと続く高層ビルが見えていることを全員が確認。

「なんで! 下までずっと続いてる!」

「三点透視という特別な技法で立体を描き、片目で覗くとこのような3D図形が見えるのです」

 

③増減する面積

太陽に向かってニッコリと対面するヒマワリの絵3‐a>を、坂道ごと裏返すと、太陽が消えてヒマワリが反対向きにしょんぼりとうつむく絵3‐b>に変わりました。

 

↑<3‐a>

 

↑<3-b>

よく見ると、この裏返した絵からは太陽が消えています!全員が「エエ!?」という表情。

そこで、左右の長方形の縦と横の長さを測ったら、3‐a>は縦と横が20センチ×30センチで面積は600平方センチ、3‐b>は縦と横が20センチ×29センチで面積は580平方センチ。よって、その差は20平方センチ。一方、太陽の絵は縦4センチと横5センチなので、減った面積20平方センチでぴったり一致。つまり、太陽分だけ面積が確かに減っていました!

 

一人の6年生が「秘密がわかった!面積が減らないように裏返せる」といって、実行して見せました。でも、多数の子どもから「ええ、なんで!」「ますますわからなくなった」の声。

 

(補足)6年生は「4年生の時の『不思議』で、面積増減の秘密を知った」と告白。

 

 

④マジックリング

これは直径が約6センチの金属のリングの中央に鎖を通過させて片方の手で握り、念力を唱えながらリングを離すと、当然落ちるはずのリングに鎖がからまって落ちない、という信じ難い現象を観察する実験でした。

私がその現象を披露してから、13人全員がそれぞれ2度挑戦しました。第一回目は最初の2人が成功して残りは失敗、二回目は最初と同じ1人と新しい別な2人が成功しました。

 

(補足)リングの落下実験は、落とすときに「少し手首を返す」コツを覚えると誰にでもできます。初めての挑戦で成功することは滅多になく、今回のように延べ26回で5回も成功する事例が起こったのは、大変珍しい出来事です。

 

 

⑤スルーするカードリング

直径3センチのカードリング12個を、最初と最後だけは1つ、他は2個づつが互いに繋がるようにして垂らします。2つ目のリングの一つを持ち上げて離すと、なぜか止まることなくスルスルと一番下まで、次々と通り抜けて落下していく現象を観察しました。

 

(補足)実際にそのようなことが起こる筈はなく、実は誰がやっても目の前で最初のリングが順次通過していくように見える“錯視現象”なのです。リングのつなぎ方に秘密があります。

 

 

⑥誕生日を当てる

自分が生まれた月と日に、指示された数をかけたり足したりした結果を告げると、各人の生まれた月と日が当てられる数マジックをおこないました。

「不思議! なんで??」の声に、全員の計算結果をずらっと並べて観察しました。すると何人かがキーナンバーを発見して、友だちの誕生日の当てっこが、一部で始まりました。

 

 

⑦結果は誰でも3!

どんな数から出発しても5回計算すれば、その結果が必ず3になってしまう数マジックをおこないました。3にならなかった人は、もう一度やり直すと自分の計算が間違っていることが分かって、とても悔しがりました。

「理由は、中学校で文字式を学習すれば分かるようになるよ」といったところ、

「早く中学校の数学を学びたい!」と何人かが叫んでいました。

 

当日こどもたちが書いた感想を、短いので原文のまま載せておきます。

 

1.まほうのリングがしょうげきてきだった。3Dビルがすごかった。

2.誕生日あてマジックがむずかしいけど面白かった。リングはどちらも面白い。

3. いろんなものがみれておもしろかった。

4.最初の3つで一番おもしろかったのが、一番目の「あるのに見えない」だった。誕生日マジックを考えたひとは、すごいなあと思った。

5.全部楽しかったけれど、マジックリングがおもしろかった。

6.太陽とヒマワリのナゾが気になっていたが、そのナゾがわかってよかった。

7.3Dのビル街をつくる工作がしたかった。

8.いろいろできてよかった。

9.まほうのリングは、④も⑤もとってもおもしろかった。たんじょうびがあやふやな数字でわかるなんてびっくりした。

10.楽しかったけれども、ちょっとむずかしかった。

11.3Dビルはすごくいい。坂のうらがえしはインパクトがすくない。

12.いちばんおもしろかったのはマジックリング。太陽とヒマワリは、場所が変わっただ

けで太陽が入らなくなってびっくりした。

 

 

今回参加したこども(4・5・6年生)の多くは、数理的な背景をもつ現象の不思議さよりも、直接目にする現象の不思議さに、より強く魅かれているようでした。   (M.M.)