もりラボ「戦争の記憶を無駄にしない集い」


8月7日、ヒロシマの原爆の日の翌日に、
もりラボ企画「絵本『原爆と戦争のお話』出版記念 戦争の記憶を無駄にしない集い」を開催しました。

もりラボ企画は、こどもの森の会員さん(もりもりサポーター)による企画イベントです。
今回は会員の西山のり子さん(なわて内観研修所)が企画されました。


(写真左が西山さん、右は作者の白木さん)

画家の白木時さん、89歳。
このたび原爆と沖縄戦体験者の証言を1冊の絵本にまとめました。
これからを生きる人々が、2度とあの様な目に遭わない様にと願いを込めて、
14年かけて証言集の絵本を描かれました。

その絵本を一緒に読みながら、未来のために語り合う2時間半でした。

以下、西山さんからの報告です。
(A.M)

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もりラボ報告

==絵本「原爆と戦争のお話」を読んで、語り合う会

8月7日午後、74年前のような、暑い、真っ青な空が広がっていました。
13名が集まり、この怖~い、怖~い絵本に描かれた事実の証言のかずかずに、暑さを忘れて語り合いました。
 

最初の1時間は、絵本を描いた白木時さん(89才)が絵本を読み上げ、「この場面を
描くときは、泣きながら描きました」などと語られました。

 

ヒロシマ

 

 

沖縄戦

 

 

参加者お一人おひとりに絵本をお渡しし、それを見ながらご参加いただきました。
最後に絵本はみなさまにプレゼントされました。

 

休憩を挟み、差し入れの水羊羹でホッと一息。

 

後半1時間は、参加者の語り合い。皆さんの発言をひろってみます。

●「この世界の片隅で」というアニメが放送され見た。戦争の悲惨さが伝わった。しかし、この絵本には、もっと酷い事実が描かれている。この絵本に描かれた事実は、知らされていない。

●この絵本をひろめ、これらの事実を多くの人に知ってもらいたい。

●原爆や戦争で死んだ人々の救いは? という問題提起に対して。
・釜ヶ崎でホームレスの人々とともに生きておられるカトリック神父の聖書研究会をやってきた。神父は、「すでに救れている」と言われた。
・(これを聴いた参加者の1人)それを聴いて、重苦しかったけど、救われた。
・ 私が12才の時、敗戦後3年目、私の中学校の廊下に、原爆のあとのヒロシマ、ナガサキの写真が貼り出された。焼けて黒い死体が写っていた。それを見て、「この焼け死んだ人が、神仏に近い存在に感じられた。この姿をさらすことで戦争がおこらないようにしてくださってる。十字架上のイエスさま」に近い感じ。
・ 戦争をしないようにしてもらっているというのは、その通り。しかし、そのことを宗教的に神格化すると、それが間違いになる。かって日本が国家神道で、戦死を美化したように。

●私が小学校6年の時、敗戦後2年目、爆撃を受けてガレキとなった私たちの町で、現在の憲法が学校で配られた。憲法9条を、魂がふるえるような感動で読んだ。

●今の日本は、どんどん戦争を始める方向にすすんでいる。みんなの力を出し合い、つながりをつくり、この動きを阻止しましょう。

●辺野古基地建設のありのままの姿を、現地に行って見てもらいたい。そこで「辺野古派遣基金」を作った。お金がなくて、沖縄へ行けない人へ基金からお金を出して、行ってもらっている。この7月に若い人たちに行ってもらった。行きたい人は連絡してほしい。基金のためのカンパも集めている。

●私の両親は韓国人である。植民地時代に日本で差別に苦しみ、同時に戦争で苦しんだ。戦後、韓国に帰り、日本に居た者だということで苦しみ、さらに朝鮮戦争で苦しんだ。そんな中で、父は死んだ。なかば自殺だった。

●徴用工問題、慰安婦問題で、日韓が対立してきている。いま、インターネットで韓国のテレビ放送も見れるが、韓国で報道されている事実が、日本では報道されていない。韓国と日本の対立について、日本の放送だけでは、事実を知らないための誤認から、問題が解決しにくいものになっている。

●日本は拉致問題をとりあげているが、韓国朝鮮の人々を、何十万人と、日本が拉致、強制連行したことは、日本では知らされていない。

●強制連行のしかたは、仕事の帰り、路上で捕まえ、家族への連絡も許さず、日本に拉致し、過酷な強制労働させた。持ってきた荷物は、朝、家を出るとき持っていた弁当箱だけだった。

●国際法で、国と国の賠償について決まっていることに、
1、他国からの侵害に対して、政府が他国の政府に対して賠償請求できる。
2、他国からの侵害を受けた個人が、他国政府に賠償を請求できる。
日本政府は、徴用工問題、慰安婦問題で、上記1をやったから、解決済みとしている。上記2は未解決であることを知りながら。

●1の日韓の政府間で支払われた賠償金も、韓国の地下鉄建設を日本の大企業がやり、結果、その賠償金も日本に入っていった。

●私の父は、ビルマ(ミャンマー)の戦地から帰還した。遺族会に行くと、私の父のように生きて帰った人はいない。「生きて帰られたのですねえ!」と言われてしまう。私はミャンマーとつながるNPO法人の活動をしてきている。

●白木さんが各地の学校で戦争体験の出前授業をやっていたころ、ここ箕面こどもの森学園でも原爆のお話を、この絵本のような絵を大きくしたものを見せて、子どもたちにやってもらった。子どもたちは途中からおびえて聴くことができなくなっていった。戦争体験を知ってもらいたいが、心に傷をおわせないという問題が残った。

●私自身が今日、この会で絵を見るのが辛すぎるので、ときどき席をはずさせてもらった。みなさんの話を聞いたのがよかった。

●この絵本を、無料でもらうのはちゅうちょする。せめてカンパを受け取ってほしい。
(白木さんは、この絵本は非売品として、必要な人に贈呈しておられる)

白木さんに参加者のみなさんがカンパをされました。

最後に、絵本を描いた白木時さんから、みなさんが来てくださったこと、カンパくださったことへの感謝の言葉があり、
拍手のうちに会を終了しました。

 

白木さんの絵本朗読の様子はこちらからご覧になれます。

https://www.facebook.com/events/2076463715980588/2100647596895533/?notif_t=admin_plan_mall_activity&notif_id=1565144814603392

 

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*もりラボ企画のお知らせ*

子どもがトラブルに遭っても大丈夫!?
〜親が知っておきたい法律知識〜

日 時:2019年9月14日(土)13:00〜14:30
場 所:箕面こどもの森学園
参加費:800円
定 員:10名(最小実施人数5名)
企画者:吉田聡史(慶應義塾大学院ロースクール修了 法務博士 ALTER(オルタ)代表/オルタナティブスクール設立・操業支援事業)

お申し込みはこちら
https://kodomono-mori.com/contact.html

*もりラボ企画とは*
認定NPO法人箕面こどもの森学園の会員さんの企画によるイベントです。
会員のみなさんがこどもの森でやってみたい企画を実現します。