7月の子育てカフェのテーマは「人生の悲劇は『いい子』から始まる」でした。
今回のメインファシリテーターはプロコーチの坂本田鶴子さん。
自分自身、長年「いい子」をやり続けてきたというたづこさんに、
「いい子」」のしんどさはどこから来るのか、
そしてそのご自身の課題をどうやって乗り越えたかについて、語っていただく回となりました。
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「いい子」とは、親にとっての「いい子」
親の言うことを聞く「いい子」のことです。
「いい子」はなぜ、自己肯定感が育たないのでしょう?
「いい子」が生きづらいのはなぜでしょう?
それは、常に相手の気持ちを大切にし、
相手の期待に添おうとし、
人に迷惑をかけないようにし、
間違わないようにしようとしているから。
つまり、「他人軸」で生きているのです。
自分の人生に「自分」がいなくなってしまうのです。
他人軸で生きていると、自分で考える力が奪われます。
自分で決める力、責任を持つ力が育たないのです。
「いい子」は自分に自信がなく、人の顔色ばかり気にしています。
人の意見に左右されやすく、失敗もできないと思い込んでいます。
自分がどうしたいかわからず、見捨てられるのではという想いで常に不安なのです。
たづこさんはまさにそういう人でした。
はたから見れば、成績優秀でまじめな子どもだったたづこさん。
父の決めた道を歩き、失敗しそうになると母が助けてくれて、
親の期待に添おうとただひたすら勉強だけをやってきたそうです。
そして高校受験の時、「自分が壊れる」という感覚を経験されました。
無気力症候群になってしまったそうです。
そんなたづこさんも大人になりました。
大手企業に就職し、結婚して退職、何不自由ない裕福な生活を送りました。
これまたはたから見れば、いわゆる勝ち組のような人生。
でも、たづこさんの心は全く満たされていなかったのです。
自分は無価値で、自分はバカだと思い込んでいたたづこさん。
夫婦関係もうまくいきませんでした。
頭の中にこだまするのは
「わたしが間違ってる?」
「機嫌悪くさせちゃった?」
「なんか悪いことした?」
という自分を責める言葉ばかり。
そんなしんどい人生が変わるきっかけとなったできごとがいくつか起こりました。
ひとつは、お子さんを自主保育グループで育てたこと。
自主保育って、保育をすべてお母さんたちでするので、
行事の企画などを自分がしなくてはいけない状況になったのです。
これまで何も自分ひとりでやったことのなかったたづこさんにとって
「自分でやる」という経験はとても重要なことでした。
また、ある時ふらりと立ち寄った占いで、
「あなたには才能がある」と言われたそうです。
腹の底から自分は価値がないと思っていたたづこさんにとって、
信じられないような嬉しいような、とにかくすごい衝撃だったそうです。
自分を肯定してくれる言葉のパワーのすごさを実感されました。
またその頃、コーチングに出会い、人の心のしくみについて学ぶ機会を得ました。
そこで自分の状態がどういうものだったのか、理解することができたそうです。
そんなふうにして少しずつ自己肯定感を取り戻してきたたづこさん。
さらなるターニングポイントがありました。
それは、「アメリカのセドナに行くこと」
これまで自分の好きなこともわからないし、行きたいところもなかったたづこさんでしたが、
たまたま見た本に出ていたセドナの写真に魅せられ、ここに行きたい!と思うようになりました。
そしてついにセドナに行かれたそうです。
行きたいところに行く。これも自分軸を取り戻すひとつでした。
さらにフルマラソンにチャレンジし、見事完走。
企業コンサルも始め、クライアントの会社の経営危機を救った経験などから、
成功体験を積み、どんどん自信を取り戻されていきました。
そして3年前に離婚され、一人暮らしを始められました。
これまでの人生、自分のことは周りがすべてやってくれて当たり前と思うような超依存人間だったけど
一人暮らしを始めて、それがとても恵まれていたと感謝することができるようになったそうです。
そして今、自分の足でしっかりと立ち、一人でいることの心地よさを実感されています。
「本来のわたしに還ること」
わたしって何が好きなんだろう?
何をしたら嬉しいんだろう?
今もたづこさんは、本来の自分に向かって探求しつづけていらっしゃいます。
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お話を伺ったあと、参加者の方たちから次々と質問が飛び出し、ひとつひとつに丁寧に答えてくださいました。
その一部です。
参加者:「ころぶと母が助けてくれたというのは、どんな助けをされたのですか?」
たづこさん「なんでもしてくれました。なんでも。なので、生きる力が育ちませんでした」
参加者:「何不自由ない暮らしをしていても楽しくないとは?食べたいものを食べたら楽しいと思わなかったのですか?」
たづこさん:「楽しくないんです。ぽっかり穴が開いているみたいで、満たされないんです」
参加者:「自分の気持ちを出すとき、罪悪感はなかったですか?」
たづこさん:「それすらなかったです。『こうしたい』すら出てこなかった。がまんしているという意識がなかったんです」
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最後に参加者のみなさんに、今日のふりかえりをしていただき、一言ずつ感想を言っていただきました。
以下、みなさんのお声の一部をご紹介します。
・自分と重ねるところがありました。ここに来ると、一歩踏み出す勇気がもらえて、今日も自分の真ん中を見つめる時間がもらえたような気がしました。
・自分もいい子だったので、子どもが目の前で自分の思い通りいかないと「わたしはちゃんということ聞いてたのに!」というインナーチャイルドがうずくので、それを解決したいと思いました。
・そうそう!とうなづくばっかりでした。決めることって自分に自信をつけるために必要なんだなあと思いました。
・たづこさんのしんどかったことをわたしたちに見せてくれて、わたしたちが失敗してもつまづいても、これから先なんとかなるって思わせてくれました。
・お金に不自由しない暮らしをしていたたづこさんの、他の人にはわからない苦しみがよくわかって、やっぱりお金じゃないんだなあと、とても説得力がありました。
・自分のせいにはしずぎないけど、自分のことをしっかりと見る、自分を淡々と顧みるということを考えることが必要だと思いました。
・今の自分をどうしたらいいか考えました。ステイタスのある仕事、収入もあるし、安定しているけれど、しっくりしていないし、しんどい。捨てる勇気、決断する勇気。どうしたらいいんだろうと思いました。
・小さいことでいいから達成していくと自信につながる。自分を生きていないということがあったので、まずそこからかなあと思いました。
・子どもをどうこうしようとするのではなくて、自分自身が前を向いて毎日楽しくしていればいいなと思いました。
・わがままも悪いことじゃないんだなあと思いました。言いたいことが言えるという環境に感謝して、自分を見つめ直したいと思いました。
・子どもは子どもの人生だと思って、見守り応援していきたいと思いました。
・たづこさんの人生経験をお聞きして、自分の人生をマイナスと捉えるのではなくて、自分はどんな未来をひらきたいか、ゆっくり自分と向き合いたいなと思いました。
・自分の子どもの能力を上げることで、自分の自己肯定感を上げようとしていたことに気づきました。最近はマイナスな出来事を冒険している感じに捉えたらおもしろがれるかなと思えるようになりました。
・初めて参加しました。結局は自分。ほかでもいくつかそういう話を聞いていて、親との関係が自分の子どもとの関係に反映しているんだなと思いました。
最後にファシリテーターからもコメントがありました。
まずは鹿毛さんから。
1、いくら頭でこうしようと思っていても、心の方が強い。だから心を見つめる以外に方法はない。
2、内なる反発する力。自分にとってマイナスなことが起きた時に、自分にどんな内なる力が働いているか、それを見つけることが突破口となる。
守安からは、今日の話を聞いてわかった、他人軸から自分軸に戻すポイントを。
1、自分のことは自分でする
2、肯定的な言葉かけ
3、自分にお金をかける(自分に価値がないと思っているとお金をかけられない)
4、チャレンジする
5、心の仕組みを知ることで自分の状態を知る
6、自分に還ろうとする姿勢
たづこさん、ご自身のことを開示していただき本当にありがとうございました。
たくさんの人を勇気づけることができたのではと思いました。
(A.M)
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<子育てカフェ 「こどもの森のハッピーアドバイス」シーズン2の予定>
2019年9月11日(水)
2019年10月16日(水)
2019年11月13日(水)
2019年12月11日(水)
時間はいずれも10時から12時です。
講座内容は、決まり次第HP・FBページなどでお知らせいたします。