中学部ではワールドオリエンテーションというプログラムを軸に、学習を進めています。
また、小学部にある、個人のプロジェクトだけでなく、「共同プロジェクト」を進めてきました。
この日は1学期間の学習の成果の発表として、その2つの時間で活動して学んだことをプレゼンテーションしました。
まずは、ワールドオリエンテーション。
今学期は、これからの準備として、社会とつながる自分について考えて調べてまとめる「私の物語」をテーマにしてきました。
それを通して「学び方・調べ方・伝え方」などを学んできました。
ひとりひとり、自分のテーマで発表をします。
1人目は「ニュージーランド」
お父さんの実家、おばあちゃんの家があるニュージーランドについて調べてまとめました。
距離について調べたり、写真をGoogle Mapから取ってきたりして資料を作り、
そこでのおすすめの場所などを紹介し、行ったら「自由で幸せな気分になる」ということを伝えました。
質問への回答を含めて、とても愉快なプレゼンテーションでした。
2人目は「なぜフューリーにはまったのか」
戦車が好きで、はまった映画『フューリー』についての考察を通して自分を見つめました。
戦車自体のことと、乗組員について調べたこと、その時の戦争の時代背景について調べたことを発表しました。
写真を上手に使って、わかりやすく説明してくれました。
フューリーという映画は、物語として綺麗にまとめられたものではなく、現実をリアルに表現していたところが普通の映画とは違うところである、という点にこの映画の良さがあると分析。
そのあたりが、はまった理由だったのです。
戦闘シーンだけでなく、映画全体を通して何を伝えたかったのか、にまで考えを広げていました。
3人目は「My dream shop」
小学部の頃のプロジェクトの時間から、積極的にものづくりの取り組んできて「作ること」が大好きになりました。
そこから、将来は自分のお店を出したり、インターネットを通して手作りのものを販売したり、ワークショップを通して作る楽しさを伝えたい、という想いから「My dream shop」の構想をまとめました。
インターネットショップのことやワークショップのことを調べ、自分の作品のアイデアを形にしたものを見せながらプレゼンテーションしました。
「作ることが好き」という自分の気持ちに向き合うことができました。
4人目は「私のプロフィール」
自分について、みんなにもっと知ってもらおうと、得意なことや好きなことについてまとめて発表しました。
今回は「表現力・想像力」の豊かさについて伝えました。
たくさんの本を読んでいて、名作といわれるような物語を読んで、その表現を自分なりにアレンジを加えることができること、音楽幼稚園に通っていた頃から演奏しているバイオリンのことを紹介しました。
最後に、大好きな犬のことも伝えました。今回のテーマの中で、自分が飼っている犬だけでなく、いろんな犬の種類を調べてまとめることにも取り組んでいました。
5人目は「なぜ江戸時代の生活が好きなのか」
歴史好きを活かして歴史について調べてまとめるに留まらず、それを通して「なぜ好きなのか」という問いにチャレンジしました。
今回まとめたのは江戸時代の生活について。それぞれの身分について紹介し、服装や食事の違いを写真やイラストでわかりやすく表現し、1日の生活についても調べてまとめました。
戦や大きな出来事についてではなく、身近な生活について着目したところに独自の視点を感じました。
そして「楽しく愉快にそして一生懸命に生きている」と感じられる江戸時代の生活が好きなのだと気付きました。また、身分がない方が自由であることも感じました。
質疑応答の時間では、江戸時代のことについてたくさんの質問に答え、「まるで江戸時代からタイムスリップしてきたようだ」と感心の声が挙がりました。
6人目「なぜ私は絵を描くのが好きなのか」
絵を描くのが好きで、これまでにコンテストで賞をもらったことも何度もありますが、今回のテーマで「なぜ絵を描くのが好きなのか」という問いに向き合ってみました。
自分は絵を通して「いやし・平和・HAPPY・楽しさ」を伝えたい。だけど、受け取る人によっては別のメッセージが伝わるかもしれない。でもそういうところも絵の面白さではないかと考察。
調べるところでは、ピカソとスーラの画法について調べてまとめました。
自分の絵を見せたり、点描について拡大画像を駆使して資料を作成したり、わかりやすく表現しました。
自分を見つめて、有名な画家の画法の変化を知って、これからの自分が楽しみになった、ということでした。
7人目は、今回はお休みでしたが、リハーサルの日に「元素」をテーマに発表しました。
科学実験で原子・分子を学び、それをきっかけに興味を持ったので、調べてまとめました。
元素という言葉の意味や、自分でピックアップした元素についての詳しい説明を画像を使いながら具体的に表現しました。
お休みの人のものも含め、7人の1学期のレポートが並びました。
共同プロジェクトでは全員で話し合って共同で取り組むことを決めて、協力して進めてきました。
テーマは「学習室の飾り付け」と「新校舎の看板作り」です。
まず「学習室の飾り付け」の”パソコンラック製作”の発表。男の子4人がチームになって木工に取り組みました。
木工好きも多い男の子メンバーは、得意な分野を活かし合って、共同で作業を進め、非常に手際よくパソコンラックを完成させました。
作り方を画像で詳しく説明しました。確かなチームワークを感じます。
次は”コルクボード”です。こちらは女の子3人で作成しました。
1学期の写真をピックアップし、ラミネートして飾り付けました。
ポイントは旗を付けたところと葉っぱや花もラミネートして貼ったこと。3人のセンスが凝縮された素敵なボードができました。
2学期以降も作りたい、という感想も。今後にも期待です。
「看板作り」は3種類。こちらはまた別のチームで取り組みました。
まずは”駐車禁止”
男の子のコンビで、大胆に豪快に素早く作り上げた駐車禁止の看板でした。
パートナーが欠席だったため、ひとりで発表となりましたが、発表では、休んだパートナーの音声を録音して再生するという斬新な形で見事に共同作業を通して育んだチームワークを表現しました。
木工のスキルとITのスキル、2人の技術の結晶でした。
次は”トイレ”
これからできる新校舎のトイレを男女で使い分けるために、2つの看板を3人で協力して作りました。
マークに顔を描くかどうかで意見が分かれましたが、描かない派の人も納得するデザインを吟味することで話し合いに決着をつけ、かわいい顔の描かれたマークの看板が完成しました。
最後は”中学部”
ここが中学部だと示すための看板を、男女のペアで作成。
男の子が木工の技術を活かして木の板をアレンジし、女の子が配色のパターンでたくさんのアイデアを出して話し合って決めて色塗りまで協力して進め、完成させました。
最後の質問の時間には「個人ではなく、共同でプロジェクトに取り組んでみて、どんな意義を感じたか」という質問が出ました。
「話し合うのが大変で、なかなか上手くいかないこともあったけど、みんなでやるからこそできることがあると感じることができた」と実感を持った言葉が出ました。
ひとりでやるだけではできないこと、何人かでやるからこそ自分だけでは出てこないような新しいアイデアが生まれて形になること、そんな「共同」の良さを実感することができたようです。
2時間ほどかけて、1学期の発表を終えました。
小学部の人達からも、見に来てくださった保護者の方や見学の方からも、本当にたくさんの興味深い質問が飛び、面白い答えが聞ける、という双方向で活気のある発表の時間でした。
中学部の7人が、1学期間で本当にたくさんのことを学び、初めての発表も、非常に堂々と立派にやり遂げました。
これからがより楽しみになりました。(J.S.)