メジロの出来事。


2月のとても寒い日。

下校時間がすぎ、静かになった4時過ぎ、学園に電話がかかってきました。電話は1年生の男の子から。慌てた声で、「鳥がな、木にひっかかってんねん!やから◯◯とかが今から学校につれていくから、お湯を準備しといて!」最初はなんのことか全くわからなかったのですが、よくよく聞いてみると、帰り道に、ネバネバとした枝にくっついて、飛ぶことができなくなっている鳥を見つけ、お湯につければそのネバネバをはずせるのではないかと思ったようです。

とにかく学校までくるのを待っていると、高学年の人を中心に、数人の子が必死な顔でもどってきました。一人の男の子の手には、枝にくっついたメジロが。よくよく見てみるとくっついたというよりも、くっつけられたといった方が正しい状態で、枝にはトリモチのような粘着力の強いものがつけられ、羽を広げ、その広げた羽にはその枝がささり、ネバネバがからまり、足もべったりとくっついていました。メジロがまだ少し元気そうでしたが、このままではかなり危険な様子でした。でもこのままほっとくわけにはいかない、とこどもたちは、試行錯誤し、あれこれ頭を悩ませましたが、あまり良い方法が見つかりません。時間もどんどん過ぎていきます。

とにかく近くの動物病院に預かって処置してもらえるか聞きにいこう、ということになりました。学園から徒歩5分ぐらいのところにある「もみじ動物病院」へ行き、事情を説明すると、快く引き取ってくれました。それぞれこどもたちもほっとひと安心して、帰っていきました。

それから数日後、学園に一通のお手紙が。

見ると、メジロを預かって頂いた、もみじ動物病院の先生から。その後のメジロの様子が書かれていました。くっついていた枝は無事にはずすことができ、また完全ではないものの、元気もとりもどしはじめ、もう少し良くなれば、自然に帰すことができる、ということでした。そしてメジロの代わりにみんなにお礼を言います、との内容でした。元気そうなメジロの写真も同封されていました。

後日、お昼休みに何人かのこどもたちと一緒に病院を訪ねると、もうメジロは元気になり、自然に放たれたとのことでした。やはり、長く人間の元にいると自然にもどりにくくなるので、少しでも早くもどしたほうがよいそうです。

もみじ動物病院のみなさま、本当にありがとうございました。

こどもたちの、突然の出来事にも目をそむけず、純粋に一生懸命助けようと向き合う姿勢と、気持ちの暖かさと強さに心を動かされた出来事でした。

(K.F)