2学期から取り組んでいる「読書家になろう!」
前回から少しずつ絵本を通して、本をより楽しく、より深く読むためのスキル「読書家の技10」を紹介しています。
今回は「質問する」「反応する」について。
「本に対して質問しながら読むと、もっとたくさんのことがわかったり、楽しく読めたりするよ。」
と伝え、まずは以前読んだ絵本、『つみきのいえ』をもう一度最初からパラパラとめくって振り返り、質問を考えました。
「なんで最初に地面から水が湧いてきたのかな?」
「おじいさんはどうして他の場所に移らないで、つみきのいえに住み続けたのかな?」
「どれも大切な質問だね。じゃあ、そんな感じに質問を考えながら、みんなでこの本を読んでみよう。読んだ後に、浮かんだ質問や思ったことを伝えあうからね。それが”反応する”ってことだよ。そうすると、本のことがもっとわかったり、もっと楽しく読めたりするんだ。」
と伝えて、続いて『希望の牧場』の読み聞かせ。
東日本大震災の後、放射能に汚染された牛たちを前に、
「だって、オレ牛飼いだから。」
と殺処分を受け入れずに、牛たちと過ごすことを決めた牛飼いの話です。
みんな食い入るように聴き入ってくれました。
「どうだった? みんなに思ったこと、疑問を伝えてみよう。何でもいいよ?」
「これってホントの話なの?」
「うん、そうだと思うよ。この帯にも…。」
そんなやり取りのあとは、しばらく無言の時間が続きました。
どうやら、本を読んで感想を伝え合うことにはまだ慣れていない様子の子どもたち。
「よし、じゃあまずは近くの人と話してみよう。このペアと、このペアと…ここは3人組ね。」
すると、にわかに喋り出した子どもたち。
「どう思った?」
「なんか強い人だなあ、って思った。」
全体の場ではまだ言えなくても、ホントはどの子もすごくいろんなことを考えいたんですね。
「何か、感じたことやわからなかったことをみんなに伝えたりしてくれる人、いるかな?」
しばらく待ちましたが、今日のところは出てこず。
こういう小さな感想の聴き合いを積み重ねていった先に、クラス全体でも1つの本について読み深められるようになったら素敵だな、と思いました。
「じゃあ、この“質問する”“反応する”を意識しながら、自分が選んだ本を読む時間にしましょう。」
と伝えると、ほとんどの子がすぐさまパッと本の世界に入り込みました。一人で本の世界に入り込むことには、随分と慣れてきてくれたようです。
あっという間にシーンと静まり返りました。
「この本読んでもいい?」
しばらく外国に行っていた子は、読んでいなかった『つみきのいえ』を友達と2人で読み始めました。
日本語を勉強中の子も、自分に合う本を自ら隣の低学年の学習室から探してきました。
高学年の部屋に置いてある本たちがこちら。ブックスタンドもワイヤーハンガーで子どもたちと自作したもの。
本をおすすめし合う文化も広がってきました。
こちらは今日のお昼の読み聞かせの本。月・金の週2日、希望者が参加する形で1学期から続けています。
継続して取り組むこと、とても大切。そして何より、読書は楽しい。素敵な時間になりました。
(D.H)