自分で決めることが可能性を拓く


 3学期から入学した1年生の女の子。プロジェクトの時間に、自分が作ると決めた作品を作るのがとても楽しいようです。
 ある日の午後、一つ作品を作り上げた後、時間があったので、別の作品を作ることになりました。
 慣れない間は、スタッフが一緒になって相談しながら、次に作るものを決めていたのですが、そろそろ自分一人で決められるかな~と思って、「自分で決めて、決まったら教えて」とその子に言いました。
 「わかった~」と言って、いろんな本を見て何にするのか考えだしました。けれども、悩んでいる時間があまりにも長くなってきたので、(迷っているみたいやし、一緒に考えた方がいいなあ)と思い、その子に声をかけました。
 すると、「ちょっと待ってて。だいじょうぶ。私は、一人で決められる。」と返ってきました。
 
 そのきっぱりとした言い方で、彼女が一生懸命自分で考えていたことがよくわかったし、今、声をかけるタイミングではなかったことを反省しました。しばらくすると、「シュシュにする」と決め、かわいいシュシュをつくりました。
2010-02-23 074
 その女の子が、ひよこのマスコットを作ることになりました。鳥が大好きで前回作ったマスコットをとても気に入っていて、2回目の制作となりました。
 前回は入学したばかりのときで、針を持ったこともほとんどなかったので、スタッフが横に付き添って作りました。
 ところが、今回作り始めるとき、活動のサポートを担当したスタッフに彼女がこう言ったそうです。
 「手伝わないで。私は、一人でできるから。」
 そして、大人の手助けをほとんど必要とせず、自分ひとりでもくもくと作り続け、あっというまに、2羽目のひよこを完成させました。
 前回のひよこよりも首が少しグラグラしていますが、すごくすてきなひよこができました。
 自分で考え自分で決めたことを、自分の力でやっていくこと。そして、それを認めてくれる仲間や大人がいること。そのことは、人の中で考えられないほどの大きな力となり、その人の可能性を拓いていきます。
 そういうことが、教育の場で保障されなければならないと改めて感じました。
 IMGP6667.jpg